の最も忌み嫌うモノの一つに「オイルの回っていない金属部品」が挙げられます。きちんとメンテナンスされていないマシンを許す事が出来ないのであります。ファットバイクのデブ号にしろ、ロードバイクのピンク号にしろ、稼働部のグリスアップを頻繁に行います。こうしたメンテナンス作業によって稼働抵抗を減らし動きが滑らかになるのは当然として、周辺部の故障や不具合の早期発見にも直接寄与しますからなぁ。
たかが自転車に、何故そこまでこだわってメンテナンスするのかと問われれば、それは一言「負けたくないから」。私は矮小な精神の男でありまして、例えば鬼の和田峠に出掛けて、さも登坂タイムなど気にしていないぜ、なんてフリをしつつも、後続の自転車に抜かされるのを極度に嫌うのであります。その癖、速い人に抜かされた途端、携帯電話が掛かってきてもいない癖に通話する芝居を始めたりする姑息さは、しっかり持ち合わせております。
もしかしたら自分と実力の拮抗したサイクリストと競争になるかも知れない。その際に少しでも自分が有利になるように、自転車のメンテナンスに余念が無いという訳であります。
刀を研いだことで、百が百一になったにすぎない。だが、相手が百ならば、その一で勝てる。そういうことだ。
森博嗣著「ヴォイド・シェイパ」(中央公論新社)からのお言葉です。確かにベアリングのグリスアップを行えば、回転抵抗を多少は小さく抑える事が可能でしょう。しかし実際のところ、そんな細かいところに注力する前にまずは体重を落とせよ、と云われれば、グウの音も出ないのでありますが。
【つづく】
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