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  今週のお言葉  

 世は空前の就職難だと云われています。テレビの報道番組なんぞ観ますと、悲嘆に暮れ憔悴しきった顔の学生さんたちが丸の内あたりをトボトボ歩いている姿が映っている事もしばしば。大変だなぁと思う反面、ちょっと羨ましくもあります。だって一生の仕事をこれから自由に決められるのですからね。

 就職イコール会社への入社という図式が出来上がってしまう事は、社会経験の無い学生さんにとっては有る程度やむを得ない事とは云え、あまりにも「会社に入る」という意識が強くなり過ぎているように感じます。「受かるエントリーシートの書き方」なんて、純真な若い人たちを煽るだけのサイトも増えていますから、焦って本質を見誤ってしまうのも無理からぬ事ではあるのですが・・・。まずは「どんな仕事に就くか」があって、その上で、その自分の夢の実現方法としてのフィールドを選ぶ、すなわちどの会社を受けるかを考えるというのが、本来あるべき就職活動の姿だと思うのですがね。

 私くらいのオサ〜ンになりますと、全く新しい業界に切り込む事は、実際のところ無理であります。しかも今日この瞬間にも家族を養う為の収入を得続けなければならず、逡巡する時間すら許されません。稼働中の発電所と同じであります。発電所の停止は地域の停電を意味します。是非はともかく稼働し続けるしかないのです。結局のところ、現在の職場環境を維持するか、それとも経験を即戦力として活かせる同業種の新しい職場を選ぶかしか、方法が無いのであります。

 誰も皆、幼少の頃はなりたいモノを持っていた筈です。新幹線の運転手になりたい、ケーキ屋さんになりたい、etc.etc.それがいつの間にか「販売系」「金融系」などという大括りな業務カテゴリで考えて、型通りの就職活動をするようになってしまう。確かに自動車の販売が上手なセールスマンの方は、その手腕を別の物品の販売、〜例えば建売住宅の販売など〜、にも活かしていく事が出来るでありましょう。しかしそれは転職やキャリアアップを考える際のお話であって、新卒者の考える事ではない筈です。

 様々なご意見は有るでしょうが、私は仕事には熱情(パッション)が必要であると考えています。車好きだから車を販売する職に就きたい。車好きだから同じ車好きのお客様と話があうに違いない。こうした基本的なパッションが最初の就職には絶対に必要なのです。だって新卒での就職では業務経験は当然ゼロな訳で、売りはパッションしかないのですから。例えば「販売系」なら何でも良いや、という意識では就職活動が上手くいかないのは当然とも云えましょう。少なくとも採用側は、学生さんに業務経験が全く無い事は知っており、しかも実際に務めてみなければその業務に本当に適正がみられるかどうかは分からない事を、百も承知しているのです。となると結局のところ、パッション=情熱しか見るべきものは無いのですからね。

 大切なのは、自分のしたいことを、自分で知っている事だよ

 トーベ・ヤンソン著、下村隆一訳「ムーミン谷の夏祭り」(講談社文庫)の中のスナフキンのお言葉です。他人と違う事をしないという没個性的意識ではなく、自分のしたい事を全力で追求するべきという意味では、就職活動も、自転車も、婚活も同じでありましょう。ここらへんの事を若い方にきっちりと教えてあげるのが、我々オサ〜ンの役目かなと思うのでありました。ああ、それにしても、こんな説教じみた話をして、我ながら爺臭せぇ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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