坂を登っていて、「もう駄目だ。足をついちゃおうかな」と云う気持ちが段々大きくなってきたという状況を想像してみて下さい。一旦こうした弱気が頭をもたげると、もういけません。考える事全てが、言い訳ばかりになってきます。こうなったら実際に足をつくのも時間の問題。何たって人間は精神の動物でありますからね。
こうした弱気な状況が、あるきっかけによって一変する事があります。「すご〜い!頑張って下さい!」とハイカーの方に声を掛けられた場合です。ましてやこれが若いお姉さんだったりすれば、足つきはおろか、逆に一気に加速する事すらあり得ます。
人間を人間たらしめているのはね、恥だと思うの
角田光代著「空中庭園」(文芸春秋刊)のお言葉です。無様な姿を見られたくない。恥をかきたくない一心で頑張ってしまう気持ちを「人間的」と評すのであれば、恥をかいてしまってそれを誤魔化そうとするのもまた、人間的な行為であると申せましょう。
他人の眼を気にするからこそ実現出来る事もある。こんな人生の真理に触れさせてくれる自転車って、本当に素晴らしいですなぁ。
【つづく】
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