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  ぱんが家にやってきた  

 お出掛け

 日、夏の繁忙期の合間を縫って、かみさんと一泊で鎌倉へ出掛けて参りました。

牛鍋屋「佐生」

 鎌倉観光と云えば、小町通りから鶴岡八幡宮など、鎌倉駅の東口が一般的ですが、今回は敢えてあまり人の行かない、鎌倉駅西口から北鎌倉を中心に散策してみる事に致しました。

 鎌倉駅西口を出て市役所前交差点を右折。今小路(いまこうじ)を北進します。ここは観光客で大賑わいの小町通りとは対照的で、それなりにお洒落なお店はあるものの、割と落ち着いている感じの通り。300メートル程歩き、途中、細い路地を左に入ります。知る人ぞ知る、牛鍋屋「佐生(さしょう)」でお昼ご飯を頂くのです。

 ここは古民家を利用した牛鍋屋で、普段は予約が取りにくい人気店なのですが、この日は台風接近による悪天候という事もあって、すんなりと席に案内されました。少々お高価いですけれども、ほら、一応は、かみさんとのデートな訳ですし、普段あまり食べる事のない、口の中で融けちゃうような上等なお肉を堪能致しましたよ。素晴らしいお庭があるのですが、雨だということもあり、より一層の情緒が感じられました。

 佐生(さしょう)からは今小路(いまこうじ)には戻らず、裏の小径(こみち)を通って寿福寺(じゅふくじ)へ。このお寺は境内には入れませんが、門のところから綺麗なお庭を見る事が出来ますし、100メートル程続く参道が、これまた良いのでありますよ。通りから少し入っているだけなのに、静謐(せいひつ)で人もほとんど通らず、静かで穏やかな時間を過ごす事が出来ました。ちなみに寿福寺は、北条政子が埋葬されているお寺であります。

ぱんが家にやってきました

 寿福寺を出たら、すぐ北側に位置する英勝寺(えいしょうじ)にお参りします。ここは鎌倉で唯一の尼寺で、創建者は徳川家康の側室であったお(かつ)の方(後の英勝院(えいしょういん))。奥には綺麗でよく手入れされた竹林があります。この辺りは鎌倉中心部の喧噪とは全く無縁で、古き良き鎌倉を堪能するには最適な場所。

 さて、ここからは岩船地蔵堂を横目に見ながら急坂を登っていきます。亀ヶ谷坂です。ここの切り通しは狭く、勿論、車両通行止め。ここを抜けると一気に北鎌倉にワープ出来るのです。

 こうして我々は鎌倉時代に作られたであろう古道(こどう)を使って、北鎌倉古民家ミュージアムに到着しました。ここでは古民家の中でギャラリーも併設していて、一部の作品は購入する事も可能。絵画や民芸品や焼き物などの様々な作品を、順路に沿って見学していたのですが、ある焼き物を見た途端、我々二人は同時に、それに目を奪われてしまったのでありました。

 Yas家では永きに(わた)り動物とともに暮らして参りました。猫のゆずは18歳、猫のみみは17歳、犬のこむは17歳で次々と亡くなり、こむ亡き後、もう約一年半もの間、猫も犬も居ない、かみさんと二人だけの生活を送っております。そりゃ新しい命を家に迎え入れたい気持ちは、無いと云えば嘘になります。しかし私もかみさんも既に還暦。これから子猫なり子犬なりを飼い始めたとして、80歳頃まで夫婦二人とも元気で、バッチリとその子たちの世話が続けられる保証などないでしょう。そういった飼い主としての責任を(かんが)み、二人で話し合って、一年半前に犬のこむが旅立ったのを最後に、もうYas家では、いかなる動物をも飼わない事に決めたのでした。

 我々を釘付けにしたのは、犬のような猫のような不思議な生き物がスヤスヤと寝ている姿の焼き物でした。何の不安も無く安心して眠りこけるその姿に、今までYas家で暮らしてくれた、めい、ゆず、みみ、こむの面影が重なった気がしたのであります。もしかしたら我々は、こうして何の不安も無く安心して眠りこける姿を見たくて、動物たちと暮らしていたのかも知れません。

 焼き物はそれなりに高価でしたけれども、我々に一切の迷いは無く、その場で購入を決めました。まさに運命的な出会いだった訳です。表面がライ麦パンみたいな色でしたので、ぱんと名付けました。今日も、ぱんは、リビングでスヤスヤと寝ております。ぱんは焼き物ではありますが、我々の心を癒やしてくれる大切な家族になったのでありました。Copyright (C) by Yas / YasZone

【続きをお楽しみに】

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