日、新聞一面の下欄にある書籍の広告を見てちょっと興味を持ち、アマゾンでその本を購入するべくサイトを開いてみました。近年、書店が街からすごい勢いで消滅している事もあり、実店舗存続の一助として、本来であれば書店に出掛けるのが筋なのは判っているのですが、ちょっと最近忙しくて、ついついアマゾンに頼ってしまった訳であります。
よく知った作者であれば構成や文体も想像出来ますから、すぐに購入ボタンをクリックするところ。しかし今回は初めて知る作家さんであった為に、ふとレーティング(商品の評価)を見てしまったのであります。実店舗での購入であれば、ざっと中身を斜め読みする事も可能ですけれども、ネットショッピングでは一部の商品を除き、それも叶いませんからね。
商品レビューの先頭に、★1つの低評価なコメントが載っていて、「封筒を開けたら表紙の部分に破れがありました。ガッカリです。最低の商品です。」、との書き込みが。これでは作者はたまったものじゃないでしょう。アマゾンの配送サービスに対するレーティングと商品自身のレーティングを混同しているのだと思いますが、勘違いとは云え★1つはレーティングの平均に組み込まれてしまう訳で、この本の作者に対する営業妨害とさえ云えましょう。自分の★1つの入力がどのような結果に結びつくかを全く考えていないあたり、あまりに想像力に欠けた行為であるとしか云いようがありません。
アマゾンもアマゾンです。レーティングを求める際、「配送の状態について」、「商品そのものについて」、「商品の返品や交換の際の対応について」、と明確に分けた上でそれぞれに入力を促し、商品本体のレーティングに、それ以外の情報ついて組み込まないアルゴリズムに変更すべきでしょう。確かに、配送の状態の問題にも関わらず、商品本体の評価に★1つをつける購入者が間違っているのは明らかなのですが、こういった想像力に欠ける方が一定数存在する事が判っている以上、それに対するアルゴリズム的な防御は、ECサイトの運営側として必須ではないでしょうか。
そもそも★1つから★5つまでのレーティング方式自体が問題なのかも知れません。サクラチェッカー
というサイトをご存じでしょうか。ステルスマーケティングやサクラによる書き込みで、不当に★の数を上げてある商品をチェックするサイトなのですが、このツールを使うと、アマゾンの商品の中には、★の数が全くアテにならないモノも多数存在する事が分かります。そもそも★がアテにならないとすれば、★によるレーティングそのものを廃止してしまった方が良いかも知れません。
★とか、「イイネ」ボタンとか、ハートマークとか、安易に無記名で利用者にレーティングさせる危険性を、ECサイト運営側はもっと考慮しなければならないと思うのです。本来、レーティングは店側で厳格に行なうべきモノの筈。プロの目でチェックして、変なモノはうちの店では扱わないという姿勢が、店の品格だと云っても過言ではないでしょう。それを利用者に丸投げしている今のECサイトの仕組み自体が、そもそもの間違い。それにしても、こういう書き込みをAIにスキャンさせて、変なモノは自動的に取り除く仕掛けくらい、AWSのサーバを使えば簡単に搭載出来そうでありますけれども、アマゾンには早いところ対応して貰いたいものであります。
【つづく】
「あれこれ」の目次に戻る