機カワサキZRX1100号は2000年に新車で購入して以来、早25年が経過。定期的なメンテナンスの甲斐あって、今でも立派に現役であります。いやむしろ、妙なトルクリミッタやABS(アンチロックブレーキングシステム)や再セッティング不能なインジェクションなど搭載されていない分、現行機よりも扱いやすい部分も多いくらい。勿論、スズキHAYABUSAやカワサキNINJA-H2やヤマハR1のような絶対的な馬力がある訳ではないので、サーキットなどの高速コーナーや、高速道路では最新鋭機に敵うべくもありませんけれども、秋山街道や道志街道や三国峠などの中低速コーナーばかりの峠道では、低速トルクが厚い分、グイグイアクセルを開けていけますので、乗り手によってはこちらの方が安定して早いくらいなのでありますよ。
今回は25年という事もあって、メーカーに純正部品在庫が残っているうちに、油圧系統を一新する事に致しました。前輪のブレーキキャリパを割ってピストンを洗浄。純正は対向12ポット油圧ダブルディスクブレーキですので、ピストン12個を綺麗にしました。特に段付き摩耗等はありませんでしたよ。勿論ゴムシール類は全て交換です。ブレーキディスクには偏摩耗等ありませんでしたので継続使用する事に。油圧ラインもポッシュのステンメッシュホースを継続使用しますけれども、ハンドル側の油圧ポンプは純正新品に交換。本当は社外品のラジアルポンプの導入も考えたのですけれども、ブレーキシステム全体のバランスを考えますと、結局ブレーキディスクやキャリパも総取り替えする羽目になるのは想像に難くありませんからな。そこまでやってもキャリパをフロントフォークにラジアルにマウント出来る訳でもありませんしね。ま、フロントフォークをオーリンズ製に変えればラジアルマウントは可能なんですが、とにかく費用ばかりが嵩んでしまいます。ブレーキは弄りだしたら際限がないと云われる所以であります。
ところで、ゼファーやZRXなど、この時代のカワサキのブレーキポンプは、経年変化でスポンジーになりがちな事が知られていますけれども、決して純正新品のタッチが悪い訳ではありませんから、無理に費用を掛けてブレンボ等の高性能社外品に変える必要性は薄いという訳です。
後輪ブレーキも前輪と同様にキャリパを割ってピストンを洗浄、ゴムパッキンは全て純正新品に交換です。ただしこちらはポンプの交換もブレーキラインの交換も無し。後輪ブレーキは制動力ではなく、どちらかと云うと姿勢制御の為のものですので、前輪ブレーキほどシビアにタッチを追い求める必要はないのでありますよ。
今回はクラッチの油圧系統も一新しました。ハンドル側のポンプも、クラッチ側のポンプも両方とも純正新品に交換し、油圧ラインも純正のゴムホースは廃棄。ポッシュのステンメッシュホースに換装です。多段湿式クラッチ自体はまだまだ
もちそうなので、今回は触りません。あくまでもクラッチを「切る」為の油圧の仕掛けを一新するという訳。
今回の整備で前輪ブレーキのタッチは劇的に向上しました。コントローラブルだけどしっかり効きます。私は普段、前輪ブレーキは中指一本で引くのですが、更に繊細な力加減をコントロール出来るようになりました。同様にクラッチのタッチも劇的に向上。繊細な半クラ状態も楽にコントロール出来るようになりました。小路転回時(小さくクイックにUターンする時〜白バイがよくやるヤツね〜)には、前後輪の両ブレーキとクラッチ、ハンドルの切れ角、車体のバンク、着座位置、更に視線を、それぞれ同時に繊細に操作する必要があるのですが、今回のメンテナンスで非常に転回がしやすくなりました。ま、これが本来の性能なのですがね。
25年を経過してまだまだ現役のZRX1100号。最近では街中では、とんと見かけなくなってしまいましたが、まだまだ乗り続けて参りますぞ〜。こういう低速トルクがモリモリのバイク、大好きなんだよねぇ。
【続きをお楽しみに】
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