国の友人に荷物を送る時、今までは普通にEMSを利用しておりました。EMS:Express Mail Service は料金は少々お高いですけれども、書留速達扱いの最速の国際郵便で、最大30Kgまでの荷物を海外に送る事が出来るサービスです。勿論、荷物の追跡も可能。その早さはちょっと驚異的ですらあります。東京→サンフランシスコの場合、エコノミー航空便(SAL便)で14日、普通の航空便で8日のところ、EMSならなんと2日!辺境の地アラスカのアンカレッジ(アンカレッジ在住の方、ゴメンナサイ)でも3日で届いてしまうのです。「SFOで税関審査中」「アンカレッジ局に到着」「配達中」「お届け済」等のステータスも逐次分かりますしね。
ところがこのEMSが4月から受付を停止してしまっているのです。EMSに限らず、米国宛の航空便(葉書や封書をのぞく荷物系のサービス)が受付を見合わせています。先進国、それも同盟国である米国に荷物を送れないとは!
私の友人がアラスカ州キナイペニンシュラ郡のソルドトナという田舎町に住んでおりまして、定期的に日本で出版された書籍などを送ってあげていたのですが、何しろ4月から米国宛のEMSが使えなくなってしまったものですから、現在、荷物を送る為の手段を失っているのであります。ソルドトナはアンカレッジから200Kmほど州道1号線を南に下ったところにある人口4,000人程の小さな街。EMSが普通に機能していた今年の2月頃までは、こんな米国の片田舎にも日本から約4日で荷物が届いていたのであります。
日本郵便は米国宛の航空便に関して専用の貨物機を持たず、旅客フライトに荷物を委託する形で、国際郵便サービスを運用してきました。米国は現在、防疫の観点から原則的に日本からの旅客の入国を禁止にしていますから、当然ながら日本からの飛行機はほとんど飛んでいない状態。これでは日本郵便の米国宛航空便需要を捌き切れない事は明白で、故にEMSをはじめとする航空便貨物については、その受付自体を停止しているという訳です。郵便物を差しだそうとしても、郵便局の窓口で断られてしまって、荷物を受け取ってすら貰えません。
友人は日本のアニメや漫画が大好きで、彼女の為に送る筈だった鬼滅の刃20巻と21巻が私のデスクの上でEMSの復活を待っておりましたが、3ヶ月以上経過しても一向に航空便回復の兆しは見えなかったものですから、意を決して、船便で送る事に致しました。郵便局のホームページによると、米国宛の船便の国際小包の配達納期は、2ヶ月〜3ヶ月との事!1ヶ月もの幅がある、もの凄ぇいい加減な期限!おいおい大丈夫かいな。
郵便局のトラッキングログによると、8月12日(水)に東京都日野郵便局に預けられた荷物は、その日の内に神奈川県川崎港の国際交換局に移動。翌13日(木)に船に乗って日本を離れたところまでは確認致しましたけれども、それからは未だステータスのアップデートはありません。
私は今まで船便で手紙や小包を出した経験はなく、果たしてこの荷物がいつアラスカのソルドトナに着くかは不明でありますけれども、のんびりと船旅を楽しんでいるであろう洋上の私の小包に思いを馳せつつ、ただ到着の報を待つしかないのでありました。
【つづく】
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