急事態宣言が解除され、東京都の営業自粛要請解除についてもSTEP2のフェーズに入りました。我が零細なる事業も6月1日(月)からお陰様で無事営業再開にこぎ着けましたよ。実に約7週間ぶりの再開であります。ところがそれから僅か2日で「東京アラート」が発令。いやはや相手がウィルスですので文句を云っても仕方ないのですが、解除のあとすぐにアラート出したり、まったく嫌になっちゃうなぁ。
東京アラートが出たからと云って、即座に営業自粛が再要請される訳では無いようですけれども、再要請の判断の為のモニタリング指標って、ちょっとおかしいように思うのですが、いかがなものでしょうか。
■新規感染者数が一日当たり50人以上
■新規感染者における感染経路不明率50%以上
■週単位のPCR検査陽性者増加比200%以上
いずれの条件にも「新規感染者」または「陽性者」が入っている訳ですけれども、そもそも全数検査やランダムサンプリング検査をしているのではなく、症状が出ている方や、無症状だが感染者に濃厚接触した可能性のある方に対してのみPCR検査を実施しているのですから、数学的には毎日異なる母集団における感染者数をカウントして一喜一憂している事になります。こんな曖昧な数字(数学的に意味のない数字)を元に、東京都全体の経済活動を制限しようというのは、お世辞にも科学的とは呼べないんじゃないかしらん。
そもそも北大の西浦教授は、患者一人当たり何人に感染を広げているかの指標、いわゆる「実行再生産数」が最も大切であると記者会見でおっしゃっていた筈なのに、東京都のサイトを見ても、読売新聞のサイトを見ても、実行再生産数については一切の記述が無いのはどうした事でありましょう。
感染を等比数列的に捉えれば、実行再生産数が1を越えれば感染は増加傾向、1を下回れば感染は減少傾向という事になります。現在の発症者数と実行再生産数から将来の新規発症者数を予測するとともに、治癒に要する平均日数と死亡に至る平均日数を勘案すれば、医療機関の逼迫度の未来予測が可能になる筈。アラートは、少なくともこうした根拠に基づいた数字を用いるべきでしょう。
こうした指標の為の大切な数字「実行再生産数」は、私の知る限りでは東洋経済オンライン(https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/)にて毎日更新されているのみ。このデータを読み解けば、実行再生産数が上昇傾向に転じた5月末のタイミングで、東京都は営業自粛解除をステップ2に移行していた事が分かります。感染者の一時的な増加、つまり解除後すぐに東京アラートを発令せざるを得なくなったのは、十分に事前予測出来たという訳。そもそも病院のキャパシティに余力があれば陽性者が多少増えても全く問題ないのです。
マスコミ各社や東京都の広報が「実行再生産数」を意図的に隠蔽しようとしているのかは分かりませんけれども、事実、東洋経済オンラインの存在を知らなければこうしたデータは得られない訳で、個々人の情報リテラシーレベルによっては正確な情報が得られない状況を作り出してしまっている現在のマスコミ各社の報道姿勢を、何とかして欲しいと切望する次第であります。
【つづく】
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