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  空母いぶきの映画化について  

 徒然

かわぐちかいじ作
空母いぶき

 わぐちかいじ氏原作の漫画「空母いぶき」を、現時点で出版されているコミックス12巻までを読了しました。私は昔から、かわぐちかいじ氏のファンでありまして、原子力潜水艦みらいの物語である「沈黙の艦隊」も全巻蔵書しています。ま、最近は置き場所の問題もあり、コミックスに関しましては電子書籍で蒐集するようにしておりますが。

 「空母いぶき」は、中国による尖閣(せんかく)諸島上陸を発端とした自衛隊と中国人民解放軍との島嶼(とうしょ)奪還の為の戦闘を描いた漫画です。高度な、政治的、歴史的、軍事的な知識を元に描かれた、この詳細で緻密な物語は、現実論としての自衛隊の存在意義や、日本が国家として取るべき軍事的プレゼンスについて、大いに考えさせられます。戦争放棄、専守防衛という枠組みの中で、外敵から国民の生命や財産を守らねばならない場面を想定しておく行為は、国として当然の危機管理の一環である事を気付かせてくれる作品であります。

 「空母いぶき」には、DDV-192いぶき(軽空母)を筆頭に、架空の兵器や艦船が登場します。一方で、DDG-177あたご(あたご型イージスミサイル護衛艦)やDG-176ちょうかい(こんごう型イージスミサイル護衛艦)、DD-153ゆうぎり、DD-154あまぎり、DD-156せとぎり(あさぎり型汎用護衛艦)、SS-504けんりゅう(そうりゅう型AIP潜水艦)など、海上自衛隊が実際に運用している艦船も登場する為に、非常に現実味の高い物語となっているのが特徴です。中国における日本製の漫画の影響力の程は分かりかねますが、中国政府としてはその設定からして、このストーリーの存在自体が面白くない事は間違いないでしょう。

 今回「空母いぶき」が実写映画化されました。映画による中国への影響は、漫画の比ではありますまい。不必要に()の国を刺激しまいとして、ぼかした表現が随所に使われるであろう事は想像に難くありません。だとすると映画での表現力が原作漫画を越えるのは容易ではないでしょう。今回の「空母いぶき」にしろ、過去作品の「ジパング」や「沈黙の艦隊」にしろ、かわぐちかいじ作品は実写映画やアニメーションではなく、漫画で読むのが最も面白いのではないかと思う次第であります。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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