がオートバイに乗り始めた頃(1980年代)は、ツーリングに出掛けてオートバイ同士がすれ違う際、互いにピースサインを出し合ったものであります。ライダー同士の挨拶です。左手を右の肩の辺り、つまり体に対して左腕をクロスするような形でピースを送ったものでありました。この形式ですと、それなりに飛ばしていても、はたまたコーナリング中でも、ピースサインを出す事が出来ます。流石に街中ではこうしたサインを出す事は稀でしたけれども、郊外では普通に出していたように思います。
2000年代に入りますと、こうしたピースサインを出し合う習慣は急速に廃れてしまいました。一部、夏の北海道ツーリングなどでは細々と続いていたとお聞きしておりますけれども、少なくとも関東近辺では、ライダー同士のピースサインは絶滅してしまったのであります。
ここ数年の傾向かと思いますが、道志街道(R413)をオートバイで流しておりますと、対向のバイクが手を振ってくる事が増えました。昔のピースサインとは異なり、手を伸ばして大きくバイバイの形に振るのです。手を振るだけでなく「ヤエー!」と叫んでいる方もいらっしゃいます。我々1980年代のバイクブームを知る者にとっては、大きく手を振る行為は少々気恥ずかしく、さりとて返事をしないのもアレなので、昔風のクロスのピースサインをお返しするようにしています。中には右手を振ってくる方も居て、当然アクセルが戻ってしまいますから操縦安定性に難があると思うのですが、そんな事お構いなしに嬉しそうに手をブンブン振る姿を見ますと、大いなるジェネレーション・ギャップを感じるのでありました。
ま、よく考えれば、当たり前の話。我々のピースサインは令和→平成→昭和と遡る事、実に30年以上も前の習慣ですからなぁ。はぁ〜、まさに、昭和は遠くなりにけり、であります。
【つづく】
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