|
限定品のモルトウィスキー原酒 |
末にかみさんと一泊で諏訪に行く用事があって、その帰りに山梨県北杜市にある、サントリー白州蒸留所に立ち寄りました。ここで蒸留され、樽で寝かされたウィスキー原酒を元に、シングルモルトウィスキー「白州」が作られます。ちなみにシングルモルトとは、大麦のみを原料とし、単一の蒸留所で作られた原酒だけをブレンドしたウィスキーの呼称でありますぞ。
今回の訪問目的は、工場売店「In The Barrel」に立ち寄り、「白州」の為のブレンド前のウィスキー原酒、いわゆるシングルカスク・ウィスキーを手に入れる事。300ml程の小ぶりの瓶に入れられ、樽のシリアル番号が打ってある限定品で、ここに来ないと買えない商品であります。
ところが目的の限定ウィスキー原酒は売場の棚に無く、完全に売り切れ状態で、入手を諦めかけたのですが、「たった今、少量ですが、限定品のモルトウィスキー原酒が入荷しました〜。ご希望の方はお急ぎ下さ〜い」とスタッフから声が掛かり、何とかギリギリ購入する事が出来ました。数年前に来た時は、ふんだんに棚に並べてあったのに・・・。それにしても、あの頃に比べて、売店の商品が大きく様変わりしているのには驚きました。
まずは、白州蒸留所でありながら肝心の「白州」がほとんど無いのであります。僅かにミニチュア瓶が数点あるのみ。白州12年や白州18年の出荷量が減っている事は耳にしておりましたが、ノンエイジ・ステートメント(年数表示無し)の白州すら在庫がゼロとは!しかも、白州の代わりに山崎のノンエイジステートメントが並べてある始末。ご存じの通り、サントリーの「山崎」は大阪の山崎蒸留所製のウィスキーであり、そもそも山梨の白州蒸留所の工場売店で扱うべき商品ではないでしょう。
白州蒸留所に肝心の「白州」が無いという状況を鑑みれば、在庫不足が相当深刻である事は想像に難くありません。ウィスキーの年数表示は、ブレンド元の原酒の最低年次保証方式。つまり白州12年は、一番若いモノでも12年以上寝かせた樽の原酒をブレンドしたという事で、実際には13年モノ以上の原酒も使われているという具合。白州12年や白州18年の安定供給の為には、最低でも今から12年超、または18年超もの年月が必要な訳で、しかし売り上げが停止しているその間にも工場の稼働経費は掛かり続けるとすれば、「白州」存続の危機の可能性すら考えねばなりますまい。「白州」ファンの私としてましては、大いに心配なのでありました。
【つづく】
「あれこれ」の目次に戻る