ッテリからの発火問題で生産中止に追い込まれた、韓国サムスン電子製スマートフォン GalaxyNote7 でありますが、航空各社が機内への持ち込みを禁ずる等、各方面に波紋が広がっています。やれ搭載された大容量バッテリのハードウエア的な問題ではないかとか、やれ防塵防水処理による密閉性の高さから熱籠もりが発生したのではないかとか、バッテリの制御ドライバ等ソフトウエア的な不具合ではないかとか、様々な憶測が飛び交っているようですが、どれもこれも的外れな感じが否めません。
ご存じの通り、リチウムイオンバッテリは高温になると膨張したり発火したりする可能性があります。これはイオン化傾向の高いリチウムを利用している構造上、避けられないリスクです。故にほとんど全てのリチウムイオンバッテリは、現時点のバッテリ本体温度をセンシングして、プロセッサに通知するインターフェースを備えています。発火しやすい構造を理解した上で、外部から温度に合わせた制御を行なおうというアーキテクチャなのです。
特にAndroidでは、例えば充電時に加熱傾向を関知すると充電電流を絞ったり、逆に使用時(放電時)に加熱傾向を関知するとCPUのクロック周波数を低下させ(コンピュータの動作を遅くさせ)て発熱を防止する機構が、OSレベルで組み込まれています。
確かにバッテリの温度に合わせてきめ細かい制御を行わねばなりませんけれども、それは充電電流を絞るか、CPUクロックを落とすかといった単純な処理に過ぎず、またこうしたソフトウエアは
GalaxyNote7 に限らず全てのAndroidスマートフォンに組み込まれているあくまで一般的な機能に過ぎませんから、GalaxyNote7という特定の機種においてのみバグが発生するという事は考えにくいですし、もし仮にこの部分に何らかのバグが存在していたとしても、非常に単純な処理しか行っていないルーチンですから、ミスの発見は比較的容易であると思われます。
似たようなリチウムイオンバッテリの発火事故は、ボーイング787型旅客機においても発生しました。何しろ飛行機のバッテリですのでスマホ用とは比較にならぬ程大きく、深部の温度が上がってきているにも関わらず表面の温度センサにはそれが現れないというタイムラグに起因するトラブルであったと聞いています。深部のセンシングが甘く、深部が高熱になっているにも関わらず、それを検知出来ずにオーバーロードを許してしまったという訳です。しかし今回は薄っぺらいスマホ用のバッテリでのお話ですので、こうした温度伝導のタイムラグの線も考えづらいでしょう。
私が不思議でならないのは、コンピュータウィルス等に感染する事によるトラブルの可能性について、新聞にもテレビにもネットにも、一切話題として挙がってこない点であります。
もし仮に、悪意を持ったプログラムにより、バッテリ温度が上昇しているにも関わらずそのデータがCPUに正しく通知されなかったり、温度の状態に関わらずCPUを全力全速で動作させるように指示が出されてしまったら、バッテリは簡単にオーバーロードを起こし、今回のような発火事故につながる事は想像に難くありません。実はスマートフォンのCPUクロック制御は、一般の方が考えている以上に頻繁に日常的に行われています。YouTubeで動画を観ただけで本体の発熱を感じた事が有る方は多い筈。CPUにとって重い処理が実行されると、CPUは稼働率を上げて対応しようとし、当然多くの電力を消費します。勿論、こうした発熱はOSによって制御されていて、ある一定以上の温度を越えないようにされています。
万が一こうした温度管理が制御不能に陥った場合、ほとんどの場合、OSは再立ち上げを指示します。何らかの故障によって、OSがダウンし再立ち上げが走るもすぐにダウンしまた再立ち上げが走る、という無限ループに入る事は、十分に考えられます。しかしこうしたダウン処理無しに、いきなり発火するというのは普通では考えられないのです。
今回私が推測し話題にしているのは、サムスン GalaxyNote7 を狙ったマルウエアでありますが、似たようなアーキテクチャのウィルスは実は以前から存在していました。サーバのCPU温度が上昇するとCPU冷却ファンが回って温度を下げようとします。この冷却ファンの制御を乗っ取ってサーバを熱暴走させるタイプのウィルスが存在したのです。最近のCPUは発熱量が大きく、冷却ファンが止まると短時間で熱暴走するだけではなく、CPU自体が破壊されてしまいます。
今回のサムスンGalaxyNote7の発火事故は、こうした悪意のあるプログラム、いわゆるマルウエアによる可能性が高いと思うのですが・・・。もしかしたら既に犯人の目星がついていて、追い込む為に発表しないでいるのかなぁ。被害金額を考えれば、国家規模のサイバーテロと考えても不思議ではありません。米国資本のたっぷり入った韓国の企業を困らせてメリットが有る国というと・・・ブルル、これ以上の言及は控えさせて頂きやしょう。