前から五木寛之氏の作品、特に氏のお若い頃の文章が好きで、愛読しております。ところがこれらは皆、四十年以上前の作品ですから、時系列に沿って系統立てて読むのは難しく、そういう意味で1972年(昭和47年)〜1974年(昭和49年)に文藝春秋から刊行された「五木寛之作品集」(全24巻)を手に入れて、一気読みしたいという欲求をしばらく前から抱いていたのでありました。ところがこの全集、あまり球数が出ていないのか、または購入者が大切にコレクションしているのか、いずれにしろ古書としてあまり流通していないのであります。私もこの全集の存在自体は知っておりましたが、現物を見た事は一度もありませんでした。
つい先日、ふと八王子堀之内のブックオフを覗いてみますと、何と!!探していた文藝春秋刊「五木寛之作品集」(全24巻)が、揃いで店頭に出ているではありませんか!これは大チャ〜ンス!しかも十分に安いお値段です。この機会を逃したら次のチャンスはいつになるか分かりません。何しろ四十数年前の本でありますからね。
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揃いました!!
文藝春秋刊 五木寛之作品集(軽装版) 全24巻 |
ところがレジに持って行きますと、全24巻揃っていると思っていたにも関わらず、21冊しかない事が分かりました。この手の全集は書店を通じて申し込みをし、以降、定期的に配本される形式で購入するのが一般的でありますから、特定の巻が無いという事は普通は考えられません。おそらくは、ブックオフに持ち込まれた時点で24巻揃いだったにも関わらず、その内の3冊は個別に買われてしまったという事でありましょう。足りないのは14巻「私刑の夏」、18巻「にっぽん三銃士(上)」、19巻「にっぽん三銃士(下)」であります。この3冊は、別途、馴染みの古書店に当たってみる事として、この日は取りあえず在庫の21冊をゲットしたのでありました。
後日、幾つかの古書店に網を張って、14巻、18巻、19巻をそれぞれ格安で手に入れる事が出来ました。やった〜。これで全24巻全てが手に入りました。実はこの作品集、文藝春秋の会社創設50周年事業の一環として出版されたものだそうで、今回私が集めた軽装版の他に、箱入りの愛蔵版も存在するとの事。ま、私の場合、所蔵が目的ではなく、一気読みしたいだけですから、軽装版で十分なのでありますがね。
各巻毎の収録作品は以下の通りであります。大学生の頃、オンボロ下宿で炬燵にあたりながら、「ゴキブリの歌」や「地図のない旅」など、夢中で読んだ事を思い出しますなぁ。
五木寛之作品集 文芸春秋刊
1972年〜1974年配本 |
巻 |
題名 |
収録作品 |
五木寛之作品集1 |
蒼ざめた馬を見よ |
さらばモスクワ愚連隊/蒼ざめた馬を見よ/こがね虫たちの夜/艶歌/天使の墓場/デラシネの旗 |
五木寛之作品集2 |
霧のカレリア |
GIブルース/霧のカレリア/夏の怖れ/白夜のオルフェ/ヴァイオリンの祭/夜の斧/望郷七月歌/聖者が街へやってきた/夜の世界 |
五木寛之作品集3 |
青年は荒野をめざす |
青年は荒野をめざす/悪い夏/悪い旅 |
五木寛之作品集4 |
第三演出室 |
第三演出室/老兵たちの合唱/銃声の夏/兇音/梟雄たち/闇からの声/盗作狩り/CM稼業/双面のヤヌス/Qの世界 |
五木寛之作品集5 |
ソフィアの秋 |
ソフィアの秋/暗いはしけ/樹氷 |
五木寛之作品集6 |
涙の河をふり返れ |
涙の河をふり返れ/怨歌の誕生/弔いのバラード/われはうたへど/深く暗い海/人情ブラウン管/奇妙な果実/ローマ午前零時 |
五木寛之作品集7 |
内灘夫人 |
内灘夫人 |
五木寛之作品集8 |
風に吹かれて |
風に吹かれて/にっぽん漂流/作者の日記 |
五木寛之作品集9 |
モルダウの重き流れに |
モルダウの重き流れに/白夜の終り/星のバザール/残酷な五月の朝に/スペインの墓標/ボンジョールノ野郎/バルカンの星の下に/幻の女 |
五木寛之作品集10 |
青春の門 |
青春の門 筑豊篇(上)(下) |
五木寛之作品集11 |
ヒットラーの遺産 |
ヒットラーの遺産/暑い長い夏/自由をわれらに/グラスの舟/四月の海賊たち/ヘアピン・サーカス/冥府への死者/ダブル・クラッチ/狼の瞳の奥に |
五木寛之作品集12 |
恋歌 |
恋歌/セルゲル通りの雨 |
五木寛之作品集13 |
裸の町 |
裸の町/夜のシンバル |
五木寛之作品集14 |
私刑の夏 |
鳩を撃つ/美しきスオミの夏に/わが憎しみのイカロス/夜の角笛/スタジオ番外地/プラハの春とおく/東京より愛をこめて/私刑の夏 |
五木寛之作品集15 |
狼のブルース |
狼のブルース |
五木寛之作品集16 |
朱鷺の墓 |
朱鷺の墓/空笛の章/風花の章 |
五木寛之作品集17 |
ユニコーンの旅 |
海を見ていたジョニー/優しい人々/風の柩/赤い広場の女/素敵な脅迫者の肖像/大日本演歌党/怨念コマソン館/帝国陸軍喇叭集/夜明けのラグタイム/浅の川暮色/ユニコーンの旅 |
五木寛之作品集18 |
にっぽん三銃士 (上) |
にっぽん三銃士 (上) |
五木寛之作品集19 |
にっぽん三銃士 (下) |
にっぽん三銃士 (下) |
五木寛之作品集20 |
白夜草紙 |
白夜草紙/野火子/ブルーディ・ブルース |
五木寛之作品集21 |
変奏曲 |
変奏曲/夜のドンキホーテ/イエスタディ/幻想の城 |
五木寛之作品集22 |
ゴキブリの歌 |
ゴキブリの歌/極楽とんぼ/敦賀へ行く/陰の中の陽/リスボンの夏/わが金沢 |
五木寛之作品集23 |
地図のない旅 |
地図のない旅/故郷の女ありて/ある日日本の片隅で/津軽漂流記/殴られに行く/青春の碑文 |
五木寛之作品集24 |
魔女伝説 |
人物論/書物について/あとがき集/作家以前の文章/対談/わが心のスペイン/魔女伝説 |
1972年(昭和47年)というと私が7歳の頃。この年代の書籍は概して活字が小さく、更にこの全集は2段組ですので、現在のモノと比べて、2冊分が1冊にまとまっている位のボリュームがあります。念願であった「五木寛之作品集」(文藝春秋)【全24巻】。なかなかの量ですので、しばらくは楽しめそうでありま〜す。
【つづく】
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