在乗っているVOXY号は、あと半年で初めての車検を迎える事になります。新車購入時は完全に最新版だったカーナビの地図データも、2年半の間に、そこここに実際の道路との違いが目立つようになって参りました。例えば圏央自動車道の高尾JCTと厚木JCTの間が開通したりと、道路の新設って割と頻繁に行われているのですな。東名高速厚木JCTから圏央道に分岐すると、カーナビの画面には高速がまだ開通していなかった頃の地図が表示され、自車アイコンはあたかも飛行機が空を飛んでいるかのように、田圃や畑や相模川を突っ切って、まっすぐ進んで行きます。何だかちょっと滑稽な眺めであります。
そりゃ地図が新しい方が気分が良いに決まっていますけれども、私の場合、全く知らない道路を走る機会自体がほとんどありませんから、既知のエリアを走行している分には、多少地図データが古くてもそれ程の痛痒を感じなかったのも事実であります。因みにトヨタ純正ナビの全国版データは2万円程度。結構な金額です。ですから前の車の時は結局10年間近く地図データの更新をせず、新車購入時のまま過ごしてしまいました。さすがに10年前の地図となりますと実際の道路と表示されている地図との乖離は結構多く、道案内の役にはあまりたちません。カーナビは単なるオブジェと化していたのでありました。
ところが敵も然るもの。VICS連動ルート検索機能の搭載により、カーナビを単なる道案内ツールから最短時間経路探索ツールに昇華させるとともに、地図データの定期的な更新を必須なものにしたのでありました。技術革新により、データの商品価値を飛躍的に向上させたという訳です。
VICS:Vehicle Information and Communication System は、全国の道路上に設置されたセンサーを使って渋滞の状況をリアルタイムに収集し、それをセンターで見やすい形に加工の上、FM多重放送網等を通じてVICS搭載カーナビに送付する仕掛けの総称です。送られてくるデータはあくまでも現在の渋滞箇所と渋滞の程度情報のみ。ですから以前は、カーナビ地図上に赤点滅で渋滞箇所を表示されたりする程度の機能しかありませんでした。ところが最近のカーナビは、こうしたVICSからの渋滞情報も加味して最短時間で到着可能なルートを検索・案内したり、渋滞を踏まえた到着予定時刻を計算・表示する機能を標準搭載しているのであります。
VICS渋滞情報はVICSセンタで統括管理されますから、渋滞情報自体は常に最新の地図に基づいています。しかし車載機であるカーナビの地図データが最新でなければ、折角の渋滞データを活用する事は出来ません。
例えば首都高速道路を走行する事を考えてみましょう。曜日や時間帯によって最も早く到着出来る経路は変わりますし、そもそも事故でもあれば予測不能な渋滞が発生致します。単に道を知っているだけでは、効率よく移動する事は出来ないのです。特に都内のように網の目のように道路が張り巡らされ、2点間の移動に無数とも呼べる経路が想定される地域では、こうした傾向は顕著になります。
渋滞データをリアルタイムに受信しながら走行ルートを最適なモノに変更していく事の出来る最新のカーナビは、知らない場所での道案内ツールというより、既知の道を如何に短時間で抜けるかをナビゲートするツールとしての側面が強いと申せましょう。そしてその機能を享受する為には、最新の地図データが絶対に必要という訳であります。
次の車検まであと半年。車検時には最新の地図データにバージョンアップしようと思います。それにしても2万円は高価いなぁ。新品購入ではなくバージョンアップなんだから、もうちょっと安くても良いと思うのですがねぇ。
【つづく】
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