2年間使っていたスマートフォンが、正月早々故障してしまいました。おそらくはバッテリ制御系のトラブルだと思われます。OSが立ち上がった途端に強制的にシャットダウンさせられてしまうという症状。実際にはたっぷりバッテリ容量があるにも関わらず、制御デバイスが充電容量が少ないと勘違いをして、自動シャットダウン動作に入ってしまうのでしょう。一般的にこうしたデバイス制御はASIC(専用の集積回路)で行われている事がほとんどですから、AUショップに持ち込んでも、基盤交換の為メーカ送致となるのは想像に難くありません。となると修理完了まで2週間程度の不便な生活を送る覚悟が必要となってしまいます。
AUショップで話を聞くと、2013年夏モデルならば型遅れの為、機体代は実質ゼロ円との事でしたので、修理は諦め、機種変更する事に致しました。今までのスマホも特に機能的に不満足なモノが有った訳ではありませんでしたから、同じHTC製のAndroid機、HTC-J-Oneをチョイス致しました。
多少画面が大きくなった位で、外観上大きな違いは無いようであります。それにしても最近のスマートフォンって、紙のマニュアルが付属していないんですね。ちょっと前までは携帯電話を買うと、何冊もの厚いマニュアルが付属していたものですが、あんなのほとんど読む人が居ないのでしょう。ま、それは良いとして肝心のオンラインマニュアルも貧弱なのは、何とかならないかなぁ。私は新しいマシンをセットアップする前に、分厚いマニュアルを通読してからでないと落ち着かない性分なのであります。かみさんは私のこうした性分を「変態」と称しておりましたが、ま、私がかつて居たIT業界では、それが普通なんすけどね。
HTCのサイトから技術情報を引っ張り出し、機能を確認していきます。指紋認証などの突飛な機能など無い代わりに、痒いところに手が届くと申しますか、地味ながら本当に役立つ機能は確実に進化しております。いやあ、スマートフォンって円熟期を迎えたのですね。
まず第一に挙げられるのが、電源環境の高性能化。1.7GHzのクアッドコアプロセッサを導入しているにも関わらず、連続使用時間に変化がありません。クアッドコアとは、平たく云えば4個のCPUで並列処理しているって事。勿論従来品の遅いCPUに比べれば、高速に動作する分、格段に電力を消費する筈であります。更にディスプレイ解像度も1920×1080のいわゆる1080PフルHD画質。今までは960×540でしたから、縦2倍×横2倍で解像度は実に4倍であります。これは画像処理に従来品の4倍の処理能力が要求されるとともに、4倍の容量のグラフィックメモリ(RAM)を維持・制御しなければならない事を意味します。連続動作時間が半分以下に減ってしまってもおかしくない程のスペック・アップなのです。それが使用時間を圧迫しないばかりか、多少長時間化すらしているのは、驚愕に値すると申し上げて差し支えないでしょう。
内蔵ストレージ容量は標準で32ギガバイト。これだけでも十分なのに、更に最大64ギガバイトのマイクロSDXCカードを追加する事が出来ます。合計最大容量は実に96ギガバイトにもなるのです。単純に、DVD-Rに換算して20枚分もの容量です。静止画や音楽でこれらのストレージを使い切る事は、もはや不可能でしょう。DVD画質の動画ですら40時間以上入るのですから。つまり、我々は記憶容量を一切気にせず、好きなだけデータを溜め込め得る環境を手に入れた訳であります。
この機種にはお財布携帯機能は当たり前として、NFC(Near Feild Communication)リーダ機能が搭載されています。この規格は、SUICAやPASMOなどのFelica規格のみならず、MIFARE規格とも上位互換を持っていますので、現時点で世界に普及しているほとんどの非接触ICカードやRFタグを読む事が出来る事を意味します。アプリ環境さえ整えば、このスマートフォンを処理端末として機能させる事も可能です。例えば、運転免許証(既に非接触ICカード化されています)で本人確認を行ったりとかね。勿論ネットワーク通信が可能な訳ですから、サーバ上のデータと突合したり、処理結果をクラウドに送ったりと、処理は自由自在であります。GPSも搭載していますから、位置情報ともリンクさせられますね。そう遠くない未来には、携帯電話という枠組みを越えて、生活に必要不可欠なデバイスとなる事は間違いないでしょう。
更に特筆すべきは、USBホスト機能、なおかつマス・ストレージ機能を搭載している事。この機能があるという事は、USB経由で外部ストレージにアクセス出来る事を意味します。つまり、市販のデバイスリーダを繋げば、SDカードやUSBメモリの読み書きも出来るという事。しかもUSBの給電容量が結構大きく、USB接続タイプのハードディスクドライブもきちんと動作するではありませんか。こりゃスゴい。データのスマホへのインストールの為に、わざわざクラウドを利用する手間も必要なくなるのです。しかもネット経由に比べて、当然、はるかに高速です。
ここまでの機能が当たり前のように搭載されていて、動作速度も高く動きもスムーズとなると、Apple社のiPhoneとのスペック差は既に歴然でありましょう。しかもこれは2013年夏モデル。型遅れ品のお話なのです。スティーブジョブズ氏の死後、Appleの商品は精彩さを欠いているとしか云いようがありません。SDHCカードやSDXCカードなどのストレージ増設も出来ず、NFCはおろかFelica(お財布携帯)も使えない。外部ストレージとの接続は不能で、データはiTunesで購入するか、iCloud経由で送るしかない。指紋認証はついているけれども機体代金は9万円台の超高額とくりゃ、一部の熱狂的なApple信者以外は、iPhoneから離れて行ってもおかしくありません。ま、ラインとパズドラしか使わないなら、この程度の機能でも良いのでしょうがね。
私はヒューレッドパッカード社製のiPaqシリーズ(WindowsCE機)を今も所有しておりまして、つまり、約13年前からの筋金入りのスマートフォンユーザであります。当時はガラ携全盛時代で、スタイラス・タッチパネル方式のiPaqを見て、何これ、なんて云われたもんですが、いやあ隔世の感がありますなぁ。WIFI経由でネット接続して、EXCHANGEサーバを介してOutlookの日程と同期したりする機能は、当時からとても便利に使っておりましたよ。
円熟期に入りつつあるスマートフォン。ジョブズの亡き後、Appleの牙城が崩壊するのも時間の問題と、私は想像しているのですが、さてどのように業界は変化していくのでしょう。こんな状況で、DOCOMOはiPhoneを担いで(他のハードウエアメーカを蔑ろにして)大丈夫なのでしょうか。今こそMicrosoftは、DELLあたりと組んで、WindowsではなくAndroid(UNIX)ベースのOSをプリインストールしたキーボード付きPCと、Android版オフィスを出すべきなのではないでしょうか。
まさにIT戦国時代。無責任な傍観者としては、中々楽しい局面なのでありました。
【つづく】
「あれこれ」の目次に戻る