風接近で雨模様だった土曜日、お昼からかみさんと八王子夢美術館に行って参りました。今回は、ムットーニこと武藤政彦氏の「ムットーニワールドからくりシアター」が目的。
自動からくり人形=オートマトンが演ずる、不可思議な時空。動きにストーリーまで感じられ、思わず引き込まれてしまいます。一つ一つの作品がまるで映画か演劇を観ているかのように語りかけてきます。光と動きと音楽とが渾然一体となって織りなす、独特の世界観。新しいのに懐かしい。何か夢の中のお話みたい。こういう、とろりとした雰囲気って、中々他の美術作品には存在し得ないと思います。おそらくムットーニ作の自動人形が唯一無二ではないかしらん。
一つ一つの動きに意味を感じられる、敢えてゆっくりとした動きを与えられた人形たちから、目が離せません。演じ終えて暗くなる自動人形。次に命が吹き込まれるまで、しばしの眠りにつきます。オートマトンは何の夢を見るのか。それとも止まっていた記憶すら失うのか。単なる自動人形の筈なのに、生とは何か死とは何かを考えさせられてしまいます。心憎いまでの作り手の周到さ。ムットーニによる広義のプログラミングによって、我々自身がオートマトンと化したかのように、作品群を順番に見入ってしまうのでありました。
八王子夢美術館は八王子市営の美術館。小さいながらも企画展には毎回キラリと光るモノを感じます。大人数で運営しているふうでもありませんから、きっと辣腕のキュレータの方がいらっしゃるのでしょう。「ムットーニワールドからくりシアター」は11月24日(日)までであります。掛け値なしに素晴らしい。オススメでありますよ。皆様も是非お出掛け下さい。
|