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  誰がこんなモン買うんだろ  

 物欲

恩方の人馬街道沿いで見掛けた
藤の花。満開です。

 今のお若い方はあまりご存じないと思うのですが、かつて私が幼少の頃、旅行に行った先で買い求めたペナントを蒐集するご趣味の方が、確かに存在しておりました。昭和四十年代の頃のお話であります。ペナントとは長さ40cmほどの三角形の旗の事で、「日本平」とか「石和温泉」などの地名とともに観光名所の絵が描かれているモノであります。今でも有るんでしょうかねぇ。そう云えば、とんと見なくなりましたなぁ。

 似たような商品で、地名入りの提灯(ちょうちん)というのもありました。私の友人にも自室にこの提灯を並べて悦に入っているヤツが居りましたよ。どこか昭和の匂いのするお話であります。

和田峠の茶屋に
バイクラックが新設されました

 かつて国内の観光地の土産物屋には、こうした「誰がこんなモン買うんだろ」と思われるモノが置いてあったものであります。「白樺湖」と大書してあるペン立てとかネ。地名ではなく「根性」とか「愛」とかの文字が彫り込んである金属製のキーホルダーも、一世を風靡しましたっけ。懐かしいなぁ。少なくともアラフィフの皆様は、かつて、こうしたグッズを一つや二つ、所有していらっしゃたのではないでしょうか。

これぞレアもの!
和田峠バッジ

 話題はガラリと変わります。連休初日の土曜日のお話。朝からウダウダしていて()が遅くなってしまった私は、お昼前頃、陣馬街道を西進しておりました。そう、今シーズン初の和田峠登頂を目論んでいたのであります。風は多少ありますが陽射しはポカポカと暖かい上々の天気。こういう日は風の影響のほとんど無い、お山に出掛けるに限ります。

 圏央道の橋をくぐり(セント)パウロ学園入り口を過ぎますと、風景は田舎のそれに変わります。いやぁ春ですなぁ。花々がそこここに咲き乱れております。特に私の好きなのは藤。気品漂う紫の花の美しい事と云ったら!恩方(おんがた)の里山の春の景色を堪能しつつ、あっという間に夕焼け子焼けの里に到着です。ダラダラと登っているとは云えここまでは楽勝。問題はここからの強烈な登りであります。

 いつもの事ですから登坂の苦労話は割愛させて頂きますが、いやぁ和田はやはり和田でありました。陣馬高原下バス停でインナー・ローにシフトしてから最軽ギア固定のまま、トコトコと高度を稼いでいきます。滝のような汗。サングラスが曇ります。第一左ヘアピンも第二左ヘアピンも相変わらずのきつさですが、以前よりは路面が良くなったせいか割とスムーズにクリア。とは云え傾斜のきつい内側からの登坂は諦め、右側通行しつつ少しでも緩斜面の大外ラインをとりましたが。

 お山はブランクがあったので心配しておりましたけれども、なんとか足を着く事無く登頂成功。この日は連休初日という事もあり、珍しく茶屋は営業しておりましたよ。おっと、前回登頂時には無かったバイクラックも新設されています。ラックにピンクちゃんを停め、茶屋でコーラを購入。一休みであります。やっぱ汗かいた後の炭酸飲料は美味ぇなぁ。

 ふと茶屋のカウンターを見ますと、「登頂記念バッジあります」と書かれた紙が貼ってあるではありませんか。いやあ今時こんなの置いてあるんだなぁ。「陣馬山」と刻印されている金属製のバッジです。それにしてもこんなの買う人居るんですねぇ。平成の世に入って既に(はや)四半世紀。昭和は遠くなりにけりであります。高度経済成長期の頃の香りがプンプンするこんなバッジ、今はやりの団塊世代(やま)ガール(どう見てもガールじゃないけど)だってこんなの敬遠するに違いありません。そもそも永い事売れ残ってきた品でしょう。埃まみれです。きっと茶屋がお婆の経営だった時代の遺物なのでしょうな。

 じろじろとバッジを観察しておりましたら、茶屋のおじさんが話掛けてきました。「実はここにある『陣馬山』バッジの他に『和田峠』バッジも一個だけ残ってるんだよね」。え?まじ?もしかしてそれってレアものじゃね?

 気付いたら400円を支払って、和田峠バッジを購入しておりました。こんなモン誰が買うんだろうって思ってましたが・・・・・、そうか、俺が買うのかぁ(笑)。ちょっと気恥ずかしく思いつつ、実は結構嬉しかったのでありました〜。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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