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  平日の箱根を堪能しました  

 お出掛け

仙石原のススキ

 先週の水曜日、平日にも関わらず上手く休みが取れましたので、かみさんと箱根にドライブに行って参りました。

 いやあ、やはりお出掛けは平日に限りますなぁ。普段は混雑必至の人気の観光地も、平日は比較的余裕があります。秋の行楽シーズンに、小田原厚木道路・箱根口ICが渋滞していないなんて、平日ならではの事でありましょう。

 ユルユルと出発したので、箱根湯本に到着したのはちょうどお昼。湯本富士屋ホテルのレストラン姫沙羅(ひめしゃら)に12時で予約を入れていたのですが、ドンピシャリです。ここのランチバイキングはとても美味しいので有名。特にビーフシチューは絶品であります。品数も多いし、その割にリーズナブルだし、平日だというのにほぼ満席の状態でした。皆さん、美味しいトコは良くご存じでいらっしゃいますなぁ。

星の王子様ミュージアム

 かみさんも私もダイエット中だというのに、お代わりを繰り返し、最後は山盛りのデザートを頂いて大満足!動けない程の満腹です。お洒落な平日の箱根デートの筈が、満腹大食い合戦から始まるとは、いかにも私達夫婦らしい展開であります。本来ビュッフェ方式では、好きなモノを優雅に頂けば良い訳で、「元を取る」とか「全品制覇」とか「少し休めばまだ入る」などの下衆な考えは似合わないのでありますが、何故か、食べ放題と聞くと夫婦共々血が騒いでしまうのでありますよ。

 動けないほどの満腹を抱えて車に戻り、仙石原に移動します。ちょうどススキが見頃をむかえているのです。観光客用の無料駐車場に車をとめ、歩いてススキの原に向かいます。以前から何度も車窓から眺めた事はありますが、ゆっくりとススキの原を散策するのはこれが初めて。ススキの原を貫く遊歩道を歩いておりますと、穂が風にそよぎ、金色の大海原のようです。特に素晴らしいのが逆光で見た風景。秋の高い空と相俟(あいま)って、幻想的とも云える不思議な雰囲気ですらあります。

 ススキの原をゆっくりと散策した後は、星の王子さまミュージアムに向かいます。ここも前を通った事は何度もあるものの、入館するのは初めて。一歩中に入ると、建物や庭はヨーロッパ調で統一されており、異国情緒たっぷりで、なんか箱根にいる事を忘れてしまいそうです。

 サン=テグジュペリの「星の王子さま」は今迄いくつかの邦訳を読んだ事がありましたが、実はサン=テグジュペリ本人が飛行機乗りであったという事実を、恥ずかしながらこの日初めて知りました。しかも、1935年のリビアでの飛行機不時着事故の体験が、この作品のベースになっているというではありませんか。「星の王子さまミュージアム」という名称ではありますが、展示内容は「サン=テグジュペリ記念館」と云った方がしっくりくる感じであります。サン=テグジュペリの人となりを知った上でもう一度「星の王子さま」を読むと、又違った作品世界を感じられるかも知れませんね。

 ミュージアムショップで「新訳・星の王子さま」(宝島社)を購入しました。訳者は倉橋由美子です。彼女は「大人のための残酷童話」などの著者として有名でありますが、この「新訳・星の王子さま」の邦訳が彼女の遺稿であった事はあまり知られていないでしょう。日本におけるサン=テグジュペリの著作権が消滅した2005年に、それまで邦訳を独占販売していた岩波書店以外の出版社から、一斉に新規出版されたモノの一つであります。当時私はこれを図書館で読むだけで済ませていたものの、今回は所有し読み直す為に、購入する事に致しました。

 日帰りではありましたが、箱根を堪能する事が出来ました。こうしたゆったりした時間の過ごし方は、日頃バタバタと忙しなく生活している私にとって、大いに楽しいものでありました。

 追伸: 帰宅してすぐに「新訳・星の王子さま」を読んでみました。それまでは、単なる寓話に過ぎないと思っていたこの物語でしたが、リビアの砂漠に不時着して死の恐怖と戦ったサン=テグジュペリの心情を想いながら読む事で、孤独の中で思索する作者の姿を感じられた気が致しました。著作に対するより深い理解の為にも、星の王子さまミュージアムはオススメでありますぞ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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