の場合、仕事でどこかに出張する事は皆無なのでありますが、一人で外泊する機会は割と御座います。主に自転車で遠くに出掛けてそのまま現地に宿泊する場合と、沼津の友人と呑む場合。いずれにしろ最低限の荷物しか持っていない事がほとんどで、故にタオルや歯ブラシは現地調達が基本となります。
ところがこの歯ブラシが問題なんですなぁ。実は私、既に十数年もの間、ブラウンの電動歯ブラシを愛用しておりまして、こう何と申しますか、ビュィ〜ンというあの独特の振動がないと歯を磨いた気がしないのでありますよ。勿論、普通の歯ブラシでもきちんと磨ける事は知っています。そして電動が万能でない事も知っています。しかしですね。あの振動は癖になるのでありますよ。
勿論私が幼少の頃には電動歯ブラシなんぞありませんでしたから、虜になったのは大人になってからの事なのですが、今となっては電動歯ブラシ無しの生活なんて考えられません。一旦体験したら抜け出せなくなるあたり、いやぁ生活家電って実に麻薬的ですなぁ。
同様に、無ければ許せない家電の代表格として挙げられるのが、シャワー式トイレであります。いわゆるウォシュレット。近年急速に普及が進んだとの事ですが、これは当然の結果でありましょう。一度でもお湯でお尻を洗う経験をしてしまうと、トイレットペーパーだけの生活には戻れません。
ちょっと汚い話をしますがゴメンなさいネ。想像してみて下さい。手にウンチがついてしまったとします。あなたはこれをお湯で洗いますか?それとも紙で拭っただけで良しとしますか?考えるまでもない事でありましょう。まさしく「ウォシュレット万歳!」と云った感じなのであります。
当然ですが私が子供の頃、うちには電動歯ブラシもウォシュレットもありませんでした。いやそれどころか、小学校に上がるまでトイレは和式の汲み取り式でした。エアコンもありませんでしたし、風呂にはシャワーもついていませんでした。便利な生活に慣れてしまうと、ずっとこの生活水準を保ち続けてきたような錯覚に陥ってしまいますが、今考えれば、子供の頃はかなり劣悪な環境でありました。この40年余りで、日本の生活様式は、まさに飛躍的に向上したのであります。
先日、日本政府が蒐集したパブリックコメントで、回答者の過半数が原発ゼロを支持したと新聞に載っておりました。理想論はともかくとして、我々は生活水準を昭和40年代前半のそれに戻す事は出来ません。原発は危険なのでゼロにしたい、でも現在の電力供給状態は維持したい。こう云うのを「無理」というのであります。無いものねだりの無責任な意見を幾らたくさん集めたところで、有効な対策が出てくる訳ではないのです。もしこのパブリックコメントを元に政策を考えるのだとしたら、それこそ愚衆政治そのものでありましょう。ま、衆院選前の人気取りの一環なんでしょうがね。
少なくとも我々の孫や曾孫の世代に、電動歯ブラシやウォシュレットやエアコンを当たり前に使える生活を引き継いでいきたい、と痛切に思うのでありました。大げさな話をしているつもりはありませんぞ。マジで、今、日本はその岐路に立たされていると思うんですがね・・・。あり?生活家電の話が、単なる愚痴になっちまった〜。
【つづく】
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