コドライブという言葉もすっかり定着して参りました。今や燃費は、車を選ぶ際の最も重要なファクタの一つとなりつつあります。ガソリンも高騰していますし、その気持ちも分かります。今月から環境税の導入も始まりましたしね。でもここで話題にしているのはあくまでもマイカーのお話。営業車を選定しようってんじゃないんですから、燃費ばかり気にするのもどうかなって思っちゃうんですよね。こういう考え方自体、エコじゃないって云われりゃ身も蓋も無いんですが。
アイドリングストップ装置装着車も増えてきました。車両が停止すると自動でアイドリングをストップし、ブレーキをリリースしてアクセルに足を掛けると自動でエンジンが始動する仕組み。流行のハイブリッドシステムも、広義のアイドリングストップ装置であると云えます。渋滞路を走る機会の多い方は、こういう仕掛けを搭載した車を使う事で、相当、燃費が変わってくるのでしょうね。
世の方々がこのように少しでも燃料消費や二酸化炭素の排出を減らそうと努力している中で大変申し訳ない事でありますが、最近、我々夫婦の間で流行っているのは、実は「エコじゃないドライブ」なのでありました。別に不必要に空ブカシしたりする訳ではないのです。目的地の無い、いわゆるドライブの為のドライブの事であります。
少しでも燃料消費を抑えようという風潮の中、無目的に走り回るだけのドライブに興じるとは、エコロジーな考えを好む方から見れば許し難い暴挙なのかも知れません。まさしく使う必要の無いガソリンを消費する訳ですからね。しかしこれが結構楽しんですなぁ。お菓子と飲み物を買って、カーステで好きな曲を掛けながら、かみさんと二人でお喋りするだけのドライブ。途中で買い物したり食事したりする事もある事はありますが、あくまでもドライブそれ自身が目的。家を出て山梨方面に出掛けて、結局どこにも寄らないで帰宅するなんて事もしばしばですからなぁ。
お菓子食って音楽聴きながらお喋りするだけなら、家に居ても出来るじゃん、とお思いになるかも知れません。でも違うんですな。今では死語に等しいですが、私の若い頃にはドライブデートという単語が普通に使われておりました。デートに出掛けるのに車を利用するのではなく、ドライブそれ自体がデートという考え方。18歳になれば猫も杓子も運転免許を取得し、中古の車を買おうとバイトに明け暮れた、あの懐かしい時代のお話であります。
あの頃と比べると、車の役割や地位は大きく変わりました。ユーティリティとしての側面を重要視する傾向が強くなり、故に燃費とかシートアレンジとかが車選びの重要なファクタに変化しました。昔はもっとこう何と申しますか、デートの道具としての要素がもっと大きかったように思うのです。ワンボックスカーやSUVばかりで、セダンやスポーツカーが絶滅寸前な現在の状況も、こうしたユーティリティ優先の風潮に起因するのかも知れませんね。
あの頃から30年近くも経つというのに、何の進歩もなく、かみさんと二人で「エコじゃないドライブ」に出掛けている我々夫婦は、確かに時代の波には乗り遅れているのかも知れません。しかしそれはそれで、遊びとしては結構楽しいのでありました。え? その間、子供達はどうしているかですって? デートなのに、そんな野暮なモノ家に置いて行くに決まってるじゃないですか。という訳で、うちのVOXY号は常にデートに出掛ける準備万端、グローブボックスは今日もお菓子で一杯なのでありました。
【つづく】
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