が家の車ヴォクシー号には、新車で購入した時からトヨタ純正のカーナビがついていました。CDの再生やラジオの受信も全てタッチパネルで行なう形式。カーナビの搭載が前提となっている仕様であります。画面をオフにする機能はなく、故に運転中はずっと自車位置を示す三角マークが点滅しています。一見、便利に思える仕掛けです。ところがこれがあまり使いものにならないのでありますなぁ。
まずは、地図データの古さが挙げられましょう。うちのカーナビのデータはDVDで供給されていて、これが既にかなり古い情報になってしまっているのであります。新しく出来たバイパスなどの情報は、地図データに含まれていませんから、新しい道を通行する際は、道路も何もないところを自車が進んでいく事になります。あたかも自車が空を飛んでいるかのような状況が画面上に展開される事もしばしば。勿論、地図データを新しいものに交換すれば良いのですが、結構なお値段なのでありますよ。しかも数万円の投資をして新しいディスクを手に入れても、情報は約2年遅れなのであります。地図会社が実地調査をして、それをDVDに組み入れつつプレスをして流通させるまでに、2年のタイムラグがあるという訳です。2年遅れの情報に対して数万円を投資するのはいかにも勿体無い話でありましょう?ま、私は吝嗇な男でありますから余計にそう感じるのかも知れませんが。
もう一つはデータ量の問題です。4.7ギガバイトのDVDでは大まかな番地までは保存出来ても、住所から建物を特定するのは難しいのが現状でしょう。勿論、有名な大きな建物はデータ登録されています。でもこうしたランドマーク的な物件は、実際は人に聞けばすぐに教えて貰えますし、道路標識にも描かれているものです。本当に必要なのは、住所から個人宅の位置を特定出来得る詳細なデータでありましょうが、現行のディスク容量では、特に全国版の場合、いかなるデータ圧縮技術を用いても、保存は不可能であると思われます。
かつてうちのカーナビが最新鋭だった頃、この様な機能に対する不満を持つ事はあまりありませんでした。最近になってこうした不満が急に大きくなってきたのであります。ふふ。勘の良い皆様ならもうお察しかも知れませんね。そうです。スマートフォンでのナビゲーションを体験してからというもの、わざわざカーナビなど買う必要がないのではないかと思い始めたって訳なのです。
地図で場所を探しながら車を運転するという場面は、私の場合、実はあまりありません。知らない土地に出向くにしても、いきなり細かい道に入ることは稀です。行程のほとんどは幹線道路を通りますから、カーナビなど無くても道路標識で十分事足りてしまうのであります。
本当にナビゲーションが必要となるのは、多くの場合、目的地があと数キロ以内に迫ってからでしょう。そこまで来たら、スマートフォンで位置を確認すれば良いのであります。スマートフォンの地図であれば常に最新版に更新されていますからね。まさにクラウド・コンピューティングの強みであります。勿論、電波の届かない地域での使用の為に、事前ダウンロードの機能も搭載されています。目的地が3G電波の入らないようなものすごい田舎である場合も、事前に地図データを取得しておけば安心です。ちなみに私のスマートフォンのメモリは64ギガバイト。DVDとは一桁違う容量ですから、データに関する心配はほぼ無いと言って良いでしょう。
まさにウエアラブル・コンピュータと云っても過言ではないスマートフォン。巷に普及した様々な電子機器は、結局のところその機能をスマートフォンに集約されていく運命なのかも知れません。私にしても、スマートフォン無しの生活なんて、ちょっと考えられませんもんね。いや〜、便利な世の中になったものであります。
【つづく】
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