さま、百田尚樹という作家をご存じでありましょうか。実は恥ずかしながら私、最近まで一度も彼の著作を読んだ事がなかったのであります。勿論、書店で平積みされているのをしばしば見ておりますし、お名前は数年前から存じていたのですがね。別に毛嫌いしていた訳でもなく、読む機会がなかったのはタマタマに過ぎないのでありますよ。
先日「永遠のゼロ」を読む機会を得ました。ゼロとは零。零式戦闘機、いわゆるゼロ戦を駆る特攻隊員のお話であります。小説のネタバレを掲載する愚は犯そうとは思いませぬ故、ここでの詳しい説明は割愛させて頂くと致しまして、誤解を恐れず申し上げれば、全ての若い日本人に読んで貰いたい小説なのであります。決して軍国主義を美化するような内容のモノでは無い事を申し添えておきましょう。別に外国人の方が読んではいけないと云う訳ではありません。ただ、我々の国がこうした方々の自己犠牲の上に成り立っているのだという事を、我々自身が知っておくべきだと思っただけなのであります。
私がブッキッシュな男で、活字依存症である事は以前より何度かお伝えして参りました。こうした私の乱読具合をもってしても、そうですねぇ、ここ5年間以内に読んだ本の中で一番の出来といってもよい小説ではないかと思うのです。ストーリー展開の小気味良さに加えて、読者を魅了する文章力もガッチリあります。「永遠のゼロ」読了後、アマゾンjpで氏の著作を片っ端から注文致しました。「ボックス」「風の中のマリア」「プリズム」・・・。どれもこれも今までに存在しなかったタイプのお話。一言で申し上げますと、私、この百田尚樹という作家の引き出しの多さに、痺れてしまったのでありました。
皆さまも、是非々々騙されたと思って、まずは「永遠のゼロ」からお読みになって下さいませ。絶対損はさせませんから〜。
ところで、この「永遠のゼロ」読了後に、書庫から毛利恒之著「月光の夏」(汐文社刊)を引っ張り出してきて、久しぶりに読んで見ました。こちらも「永遠のゼロ」とともに、お若い人に是非とも読んで頂きたい作品であります。
【つづく】
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