日KDDIがスマートフォンに対するパケット制限措置を発表しました。直近3日間の使用パケット数がある一定量を超えていた場合、その当日のその端末のダウンロードスピードを制限するという施策です。聞けば、iPhone(ソフトバンク)は既に同様のプログラムを発動しているというではありませんか。これって何かおかしくないっすか?
そもそもスマートフォンは、十分な容量の通信インフラの確保を前提とした仕掛けであります。曰く「YouTubeを活用しよう」、曰く「グーグル音声検索は便利です」。KDDIは動画のダウンロードを推奨し、その為のメソッドとしてスマートフォンをリコメンドしたのではありませんでしたか。音声検索の精度向上の為に端末側では処理を行なわず、音声ファイルをアップロードし、サーバ側で処理するモデルを考えたのはグーグル側ではなかったですか。そもそもクラウドコンピューティングという概念自体、パケットの使用量を気にしながら運用するようなモノではなかった筈。な〜んか騙された気分であります。
既に米国ではパケット定額制が維持出来ず、従量制への移行を余儀なくされているというではありませんか。KDDIの今回の施策もその前振りであるという噂もあります。おかしな話です。パケット定額制の存在を前提としてスマートフォンを購入したユーザにとっては、メーカによる悪質な契約不履行に当たるといっても過言ではありません。
私の先月のパケット料金は24万円でありました。これがパケット定額割引により5,200円になっているのであります。実に97.8%割引!!私は決してヘビーユーザではありません。スマートフォン利用者としては標準的かつ常識的な使用頻度。そもそもの従量制正規料金の設定がおかしいのであります。普通に端末を利用しているだけなのに24万円って、絶対変でしょ?
通信事業者の言い分としては、バックボーンが限界に近づいてきているとの事のようです。無線基地局以降のいわゆる有線トラフィックに問題はない訳ですから、混んでいるのは3G無線通信側でありましょう。間接的・外的な要因で通信が混んでいるのであれば、当初の予想が外れる事だってあるでしょう。でも今回のお話は全く違います。無線基地局と携帯端末の間の通信、すなわち自社インフラ範囲内だけが混んでいるのであります。端末を売りまくれば、その分の無線通信リソースが消費されるのは自明中の自明。あのですね、これってゴルフ会員権を乱発販売しまくって、その上で混んできたからといって入場制限を掛けているようなモノで、はっきり申し上げますと、詐欺行為そのものでありますぞ。
最近リリースされたのグーグル・プラスなるサービスでは、携帯機で撮った写真を自動的にクラウドにアップロードする機能を付けたりしています。もしこれが従量制で課金されるとなれば、悪質な押し売りと云えましょう。だって自分が全く意識していないにも関わらず、通信料金が発生しちゃう訳ですからね。パケット料金が掛からない前提で構築したビジネスモデルに対し、課金体制を変えるのは、所詮無理なのであります。
基地局の数を増やすなり、WiFi設備を追加するなり、いずれにしろ必要な無線トラフィック容量を確保するのが、インフラ業者としての責務でしょう。オール電化を推奨しておいたにも関わらず節電をお願いして許されるのは、東京電力という事業者自身が津波の被害者だからであります。世間では東電ばかりが悪者にされていますが、民間企業が海岸線を所有する事は出来ない以上、防潮堤の整備は自治体及び国の責任範囲であります。地震を想定出来ていなかった責任は東京電力ではなく国や自治体が負うべきであると思うのです。勘違いをされている方も多いですが、東電は被害者なのですよ。
対して今回のKDDIの施策は、地震などの想定外の事象によるものではありません。単純に自分のインフラ容量を顧みず、スマートフォン端末を乱売してしまった結果なのであります。しかもこんな状況にも拘らず、iPhone5の提供すら模索していると云うではありませんか!完全な確信犯。
パケ放題を前提とした夢を語り、その為の高価な端末機を販売する。しかし実体はインフラ容量の不足により、その機能を享受出来ないばかりか、端末に機能制限や通信制限を掛けたり、従量課金制への移行を断行しようと目論む。しかもその状況を把握しつつも、パケ放題を謳い続け、端末の乱売は継続する。これって、かつての豊田商事のやり方と全く同じだと思うんですが・・・。とにかく、二階に上げておいて梯子を外す様なマネはヤメて欲しいものであります。
【つづく】
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