来、私は夏よりも冬の方が好きでした。いや、好きだと信じていたという方が適切かも知れませんね。いずれにしろ暑い季節は嫌いでありました。汗をベタベタかく事に代表されるように、夏には不潔なイメージを持ってしまっていたのであります。
数年前まではかなり太っておりましたので、汗の問題は相当に深刻でありました。何もしていなくても汗をかいてしまうのです。夏は一日中エアコンの効いた部屋から出ない。完全な運動不足。故に太って汗をかきやすくなる。だからエアコンの部屋から出ない。こうした悪循環により体力は落ち続け、メタボリック化も昂進してしまいました。
夏が過ぎて汗をかきにくくなったから運動するかと云えば、そうでもなく、結局は家でゴロゴロする生活。出掛ける事は出掛けるのですが、ほとんどはオートバイで道志へ行く程度。確かにオートバイの運転は気分転換にはなりますが、運動不足は募るばかりでありました。
こうしたメタボリックな生活を一変させたのが自転車でありました。自転車に乗り始めたばかりの頃は体力もなく、途中で休んでばかりいましたが、乗り慣れてくるにつけ体力もついてきましたし、何しろ劇的に体重が減りましたので、楽に遠くまで行けるようになりました。
自転車に乗り始めて変化の第一は体温の上昇です。今では常に36度6分程度。以前は35度代でした。太っているのに冷え性。あの頃に比べれば基礎代謝量が上がっているのだと思います。そう言えば、体温の上昇とともに風邪もひかなくなりました。
第二の変化は安静時心拍数の低下です。今は40bpm代後半。自転車で心肺機能に負荷を掛ける事で、エンジンで云うところのアイドリングが低い状態でも維持出来る様になったのです。いわゆるスポーツマン心臓。私は高校時代に柔道部に所属していましたが、その頃の安静時心拍と数値的には同じ位であります。体って負荷を掛けると、結構若い頃の状態に近づいたりするんですねぇ。
第三の変化は、何と云っても体重の減少です。自転車に乗り始める前から比べますと約15Kgも落ちました。特に食事制限をしている訳でもなく、逆に以前よりも食べる量は増えた位です。日々運動してカロリーを消費している事、基礎代謝量が上昇した事により、余分な脂肪が落ちたのでありましょう。ロードバイクの過度な軽量化には、莫大な費用と、破断のリスクが付き纏いますが、体重の減少には、そういったリスクがありません。それどころか、普通のロードバイクが9Kg位だとすると、自転車1.5台分の軽量化に成功した事になります。
2010年。今年の「記録的」とまで言われた猛暑の中、元気に自転車でお出掛けしまくりました。お出掛け中、常に汗はダラダラ。でもあまりベタベタ感じない気持ちの良い汗。夏が好きだなんて思ったのは、子供の頃を除けば初めての事かも知れません。そりゃ勿論、冬の寒い日に暖かかった日々を懐かしむ事は、今までに何度かありましたよ。しかし夏の暑いさなかに、夏って最高だなぁと思う事などありませんでしたもの。
今年もあと二週間ちょっと。残暑が長く続いたせいか、秋を感じる間もなく冬になってしまった感があります。寒いとただでさえ自転車で出掛けるのが億劫になると云うのに、陽も短いときたもんですから、どうしてもサイクリングは近場中心になってしまいます。夏に比べれば熱中症のリスクは減って、本当は走りやすい筈なのですがね。月間走行距離は夏の半分といったところでしょうか。
あ〜あ、早く夏にならねぇかなぁ。それか、オアフ島とか沖縄とか、暖かいところに飛行機輪行、ってのも良いなぁ。いつの間にか夏の暑さが大好きになってしまった私でありました。
【つづく】
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