道に対する憧れって、実は凄〜く強くて、ところが字が下手でコンプレックスがあるもんですから、筆をとる事なんてないまま、今の今まで生きて参りました。あ、憧れているのは「書道」でありまして、「習字」ではありません。昔々、小学校時代の習字の授業が嫌で嫌でたまりませんでした。今となってはその先生が嫌だったのかなとも思います。「何だこの下手な字は。ははは」と先生に笑われてから、積極的に筆を握る事は一切無くなったのでありました。
社会人になってから相田みつを氏の書を観賞する機会があり、脳に電気が走った気がしました。書道への憧れを抱いたのはその時からであります。それまでの私にとって、書道は「明朝体調のお手本をひたすら正確に写す」というモノだった訳ですが、そうした偏った認識が間違いであった事が分かりました。相田みつを氏が、私が経験した小学校の習字の授業に出席していたとしたら、氏の書は著しく低い評価を下されてしまった事でしょう。あの沼津市立門池小学校の習字の授業の方が間違っていたのです。書道では好きな事を好きなように書けば良いのです。そんな簡単な事に気付くまでに40年も掛ってしまいました。
相田みつを氏の書は、書としてのみならず、詩としても優れている事は、衆目の一致するところでありましょう。嗚呼、詩についても私には大いなる憧れが有るので御座います。ところが中々自分で詩を書くとなりますと、照れくささも手伝ってか上手くいかないのであります。
私は読書量だけは多い方でありまして、日々乱読しておりますと、気になる表現が結構ある事に気付きます。自分で書かなくても、詩と云いますかフレーズと云いますか、言霊は、実は巷に溢れているのであります。ところがほとんどの場合、これらは扁平な活字として我々の目に触れる事になります故、多くの素晴らしいフレーズは右から左へと受け流されていってしまうのが現実。嗚呼、この珠玉のフレーズが書になっていたら・・・。そう思う事もしばしばなのであります。
フレーズに関し、何もそのソースを活字だけに限っている訳ではありません。テレビドラマや映画、漫画にも素晴らしい表現を発見する事が出来ます。インターネット上の掲示板もしかりです。私はメディアに対する一切の偏見を持たない男であります。活字中毒者であると同時に、TSUTAYA
DISCASのヘビーユーザでもありますし、劇画を中心に漫画も蔵書の一部となっています。何でも来いなのであります。
私の目に触れた珠玉のフレーズを「今週のお言葉」として皆様にご案内しようと云うのが今回の企画です。あくまでもYasによる偏見に満ちた選択抽出の上、お言葉のソースや、これらのお言葉に対する様々な想いを一週間に一篇ずつ書き連ねていくというこの企画。いつまで続くか分かりませんが、のんびりボチボチ書いていこうと思います。
【つづく】
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