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  お陰様でマウント富士ヒルクライム完走出来ました  

 お出掛け

様々なブースが出て、華やかな前夜祭。
ステージでは、
トークショウも行なわれていました。

 マウント富士ヒルクライム大会前日の6月5日(土)、車に自転車を積んで、河口湖へ移動しました。今回は移動も宿泊も一人なのであります。シリアスなレースですからネ。一人で行動する事で、レースにコンセントレートしようという訳。

 レース本番は6月6日(日)の朝なのですが、前日の6月5日(土)にエントリを済ませないといけない決まりとなっています。このあたり、大会運営上の理由だと思われますが、感心する位、タクティカルに考えられています。前日に全ての選手を一旦スタート地点に訪れなければならなくする事で、当日道に迷ったとか、エントリに手間取って出走が遅れた等の混乱やトラブルを回避出来ますし、エントリ時間に幅を持たせる事で、事務処理の集中を避け、結果として少人数のスタッフで運営する事が可能になります。その他にも、結局現地に宿泊しなければならないですから、閑散期のペンションや旅館に宿泊客を誘致するという、地元振興の意味もあるのだと思われます。

マウント富士ヒルクライムは、
スバルラインを全線閉鎖して
実施されます。

 会場から4Km程離れた富士ビジターセンタに車を停め、自転車に乗り換えて、エントリに向かいます。実は一旦は中央道河口湖ICから、直接、北麓公園に向かったのですが、付近は大渋滞となっており駐車を諦めたのでありました。北麓公園には大きな駐車場がありますが、今回はそこがスタート会場となっている為に、横の小さな駐車場しか使えないのが原因なのでしょう。何しろ5000人がエントリする訳ですからネ。

 富士ビジターセンタからはひたすら登りです。翌日の本戦に向けて、体をほぐしておくという意味もあり、適度に汗をかきながら登っていきます。会場には色とりどりのブースが出ていて、前夜祭ムードを盛り上げています。自転車メーカや部品メーカのブースだけでなく、アパレル系や、はたまた、焼きモロコシやおやきの出店もあります。各ブースを見ていると、翌日の本戦終了後の下りの為にレッグウォーマを買ったり、地元の名産である桃の地方発送を頼んだりと、結構繁盛していました。

 シマノのメカニカルブースの前をブラブラ歩いていると、なんとTEAM URIBOZの8MANさんに遭遇!しかもその後、同じURIBOZのゆきちさんもいらっしゃいました!出場者5000人もの大会で、こんなに次々と知り合いに遭遇出来るとは・・・。しばらくの談笑の後、宿に引き上げる事にしました。エントリ・カウンタで駐車券や無線タグや参加賞のスポーツタオルなど諸々の荷物を受け取り、自転車で富士ビジターセンタに戻ります。帰りは下りだけなので楽ちんです。ビジターセンタに到着し車に自転車を積み込んでいると、メールが到着していた事に気付きました。URIBOZのこじさんからです。「北麓公園で駐車待ちしていたら、車の横を自転車で通過するYasさんを見ましたよ〜」との事。こじさんは、同じURIBOZのしんさんと一緒の車で来ていたそうです。それにしても世間って意外に狭いものなんですねぇ。

 この日はそのまま車で山中湖に移動し、すぐに宿にチェックイン。翌日に備えて早めに就寝致しました。

 6月6日(日)は午前3時起床。夕べのうちに用意してあった朝食を摂り4時にチェックアウト。指定駐車場である富士急ハイランドに向かいます。

大会当日、スタート地点から
富士山をのぞむ。
あんな遠くまで自転車で登るんだぁ。

 富士急ハイランド駐車場は、朝4時30分の時点でマウント富士ヒルクライムへの出場者で一杯の状態。自転車の整備をする人、ひたすらローラー台を漕いでウォームアップする人。私自身も段々レースに対するモチベーションが上がって参りました。

 ここからは自走でスタート地点である北麓公園に向かいます。北麓公園は人・人・人。広〜い駐車場は選手で一杯です。一種壮観な眺め。本大会は時差スタート方式で、私は第8スタートですので、8000番台のゼッケンをつけています。案内板に従って、8000番台の待ち合わせエリアにスタンバります。と、いきなり「Yasさん!」と声を掛けられました。URIBOZのこじさんです。トイレに行く途中で、私のヘニョピリン・ジャージを発見したとの事。それにしてもこれだけの人数の中からよく見つけられましたねぇ。

 花火が上がって、いよいよスタートです。次々と5分おきに、各スタートグループが出発していきます。私の属する8000番台グループは最終スタートとなります。第1スタートは招待選手を含むアスリートクラス(ゼッケン1000番台)、第2スタートは女子選手(ゼッケン2000番台)、第3スタートからは男子の一般参加選手となります。申告タイムによって3000番台から8000番台のゼッケンが割り振られています。勿論3000番台が一番早い人たち。我が8000番台は最遅の人たちであります。私は今回初出場でしたので、予想タイムが全く分からず、適当に「2時間半以上」と申告したところ、8000番台となりました。

スタート前の北麓公園。
5000人の選手が出発を待ちます。
見渡す限り、人・人・人。壮観な眺めです。

 出走まで、あと10分。緊張がいやが上にも高まります。今朝は2時間の間に5回もトイレに行きました。こんな緊張感って本当に久しぶり。高校の部活の試合の時以来かも知れません。私の安静時心拍は50台ですが、まだスタート前だというのに既に100を越えています!まさしく心臓ドッキドキ状態。大丈夫か?俺。

 バーンと号砲が鳴っていよいよ我が8000番台グループの出発です。ここからは、5分前に出発した7000番台、10分前に出発した6000番台、15分前に出発した5000番台を追いかける事になります。

 それにしてもスタートして最初の5Kmは滅茶苦茶の無法地帯です。遅い自転車はキープレフトが決まりなのに、フラフラと右側を走る人有り、それを左側から抜こうとする人有り。本当はセンターラインを超えてはいけないのですが、結構な数の人がパイロンを越えて反対車線を登っていきます。するとそれを見て、真似して反対車線に出る遅い自転車も居て・・・。この混乱を抜いて行きたいのですが、上手くいきません。前を塞がれ、ふん詰まってしまって、ブレーキを掛けざるを得ない事もしばしばです。登りだけのヒルクライムレースで、ブレーキ掛けなきゃならないなんて・・・。早くこの集団から抜け出さなきゃ・・・。

 7Kmを過ぎるあたりから、周りに8000番台があまりいなくなり、7000番台が大半を占めるようになってきました。遅い自転車はきちんと左側を、抜く人は右側からと、走行レーンを守る人が増えてきました。しかし坂はキツい。心拍はアベレージ170bpmをスタートからずっとキープしたままです。AT値ギリギリ一杯。これ以上、心拍数を上げると、無酸素運動になってしまいます。無酸素運動では一気に乳酸が溜まって力尽きてしまいます。有酸素運動=エアロビクスでないと、1時間半以上の長丁場はもたないのです。だからと云って楽な心拍数では勝負になりません。サイクリングではなくレースなのです。限界一杯を保ちながら進みます。175bpmを越えないように。しかし165bpm以下に落ちないように。苦しい。本当に苦しい。ギヤを軽くしようかと悩みます。でも落とさない。一旦ギアを軽くしたらすぐにそのスピードに慣れてしまうでしょう。水は低きに流れます。余裕の無い私にとって、ド根性を突っ張り通す事が、速度を維持する唯一の手段なのです。時々立ち漕ぎを入れてケイデンスを回復させます。滝のような汗。苦しいよぅ〜。

 樹海台駐車場を通過します。樹海台駐車場にはトイレと給水所があり、既に結構な台数の自転車が停まっています。心の折れてしまった人たちです。寄って休みたい衝動に駆られます。い〜や、ダメだダメだ。休んだら終わりだ。1分1秒を競うレースなのです。半泣き状態のまま通過します。

 出発してから12Km。中間地点まで登って来ました。ここまで約45分強。このままのペースで行けば、1時間30分強です。え〜?!。無理です。こんなペースをあと45分も続けるなんて。そもそも、ここまでこのペースで来れた事自体が奇跡に近いのに・・・。でもここまでは相当良いペースで来れています。予想外の健闘と云えましょう。

ゴール後
富士山をバックに記念撮影。
諦めないで、最後まで頑張れたぜ!

 レースもいよいよ後半戦です。このあたりまでくると周りはゼッケン6000番台が70%、7000番台が25%といった構成で固まって来ました。私と同じ8000番台はチラホラしか見えません。逆に前から下がってきた4000番台5000番台を見る事も珍しくなくなってきました。距離を経る事で選別され、抜く事も少ない代わりに抜かれる事も少なくなってきたのです。ペースが同じ選手が集まりつつあるのでしょう。

 大沢駐車場を通過します。和太鼓の応援です。マジ辛い。ペースが落ちそうになります。頑張らなくちゃ。ここでこそ頑張らなくちゃ。ペースが同じ位の人に抜かれるという事は、直接の順位がドロップする事を意味します。逆にここで抜かせば、その分だけ順位が上がるのです。ここで緩めてたまるか。漕げ漕げ、俺。しかし辛い。ここまで1時間以上も170bpm台の心拍を維持し続けてきたのです。疲労も蓄積してきています。しかも私は一度だけですがこのルートの試走経験があり、この大沢駐車場の上からが最も斜度がキツくなる区間であるという絶望的な事実を知っているのです。

 沿道から頑張れ〜と声が掛かります。嬉しい。励みになります。でも声を出す事はおろか、片手を上げる余裕すらありません。沿道に向かって頭を下げます。有り難う。力を貰いました。立ち漕ぎで速度の回復を図ります。息が苦しい。上手く肺に空気が入ってこない感じです。

 前を行く自転車を抜かさなきゃ。弱気は負けを意味します。自転車を右に振って、前走車を抜きに掛かります。すると私の動きに合わせて前走車のペースが上がります。二台で併走したまま進みます。下がった方が負け。その事を相手も知っているのです。力を振り絞ります。心拍数は192bpmまで上がっています。キャットアイのメータはピピピーピピピーと、心拍異常を告げています。ノロノロとした時速17Kmのデッドヒート。ほとんどの肉体的な勝負は、精神的な勝負でもあります。特に力が拮抗している相手にはその傾向がより顕著であると云えます。まだまだまだまだ。サングラスが曇ります。外したいけどハンドルから手を離す余裕すらありません。

 ようやく相手が下がります。ずっと並走を続けていたのに、一旦下がった途端にすぅっと遅れていきます。左ヘアピンを思い切って内回りしながら後ろを見ると、あっと云う間に5m以上の差がついています。相手の心が折れたのです。もし諦めていたら、すぅっと下がっていたのはきっと私の方だったでしょう。諦めるもんか。漕げ漕げ、俺。漕げ漕げ漕げ漕げ、俺。次の前走車に近づきます。休む間もなく自転車を右に振って並び掛けます。ゴールまでこんなに苦しい事の繰り返しなのでしょうか。その事を想像すると、気が遠くなる思いです。

 残り3Kmです。既に20Km以上、標高にして1000m以上を登ってきました。ルート上、最も平坦な部分に出ました。思い切ってフロントをアウターにシフトします。グングンスピードが乗っていきます。時速29Kmで巡航します。苦しい。前走車についていけない。離され気味。左足のふくらはぎが攣りそう。そういえば試走の時も同じあたりで攣りそうになりました。今、攣ってしまう事は絶対に避けねばなりません。右足対左足を、6対4くらいで、パタパタン、パタパタン、パタパタンと漕いで誤魔化します。

 最後の登りです。残り500mの看板を通過します。ずっと立ち漕ぎで進みます。沿道左側にはたくさんの人が居ます。皆、口々に応援してくれています。でもあんまり声が聞こえない。耳が遠くなってきちゃった。もう少しです。ここで力を抜いたら、今まで何の為に頑張ってきたのか分からなくなってしまいます。立ち漕ぎのまま進みます。無理にギアを一つ重くします。漕げ漕げ漕げ漕げ。漕げ漕げ漕げ漕げ漕げ漕げ。

 ゴ〜〜〜〜ル。やった。着きました。着けないかもと思いましたが、ようやく到着しました。手元の時計で1時間41分58秒。目標の1時間45分を3分も上回っています。ゴール付近が混み合わないようにすぐに停車せず、オフィシャルの誘導に従って奥まで進みます。ギアを最軽の27Tに入れてゆっくり上がります。そういえば今日は27Tには一度もシフトしませんでした。

 一番上のロータリーで自転車を降りて、左側に下ったところの駐車場にある給水所に向かいます。歩いて下り初めてすぐに、左のふくらはぎが攣りました。立っていられず思わず沿道に尻餅をついて、そのまま休みます。オフィシャルの方がすぐに駆け寄って来て「大丈夫ですか!」と声を掛けてくれます。「大丈夫。ちょっと疲れちゃっただけ」と答えます。

 5分程休むと、足の攣ったのが大分良くなったので、下の駐車場に降りていきました。そこで先に到着して休憩中の、ゆきちさん、しんさん、こじさんに遭遇。彼らはゼッケン4000番台です。さすがに速いや。しばらく休んでいると、後から8MANさんもやってきました。

 本大会は、無線チップでチェックポイントの通過時刻を自動計測する方式です。WEBとも連動しており、指定サイトにアクセスすると自分の正式記録が確認出来ます。携帯からEZ-Web経由で見てみますと、私のオフィシャルタイムは、1時間41分56秒38で、ロードレーサー男子44歳以下カテゴリでは、1027人中544位でした。このカテゴリでは私は最年長ですし、ヒルクライムに出場される方はそれなりの猛者ばかりでしょうから、その中で真ん中辺りの順位というのは、私にとって、大満足の記録であります。初出場ですしネ。更に、遅いながらも全力で、ただの一度も諦めず、本当に最後の最後まで勝負にコンセントレート出来た事も、大満足に繋がりました。

 URIBOZメンバでまとまって下山します。下山時に寒くないように防寒着を用意してきたのですが、今回の大会は天気が良く、上着を着ると暑いくらいです。事故の無いように先導車についてゆっくりと北麓公園まで下り、皆で吉田うどんを頂きました。塩気の効いたうどんの美味い事、美味い事。まさに最高の味でありました。

 練習不足のまま、勢いだけで出場してしまったマウント富士ヒルクライムでありますが、怪我や事故もなく、お陰様で完走する事が出来ました。速い方から見れば平凡なタイムでありましょう。しかし自分としては大満足の結果でありました。有り難う御座いました!Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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