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  ポメラDM20を買いました  

 物欲

 パソコンを購入する際、ほとんどの方がCPUの演算速度やメモリ容量、ハードディスク容量といった、ハードウエアのスペックで選んでいるのではないでしょうか。ちょっと詳しい方ならFSBのベースクロックやコアi7のディスパッチ効率やグラボの描画スピードまで気にするかも知れませんね。

たたむと14cm×10cmです
開く機構は秀逸
開くとフルサイズキーボード
十分な打ちやすさです

 世の中にはいわゆる「おたく」と呼ばれる人種もたくさん存在しております。彼らに言わせれば最新のハードウエアスペックマシンを所有している事が一種のステータスとなっている訳でありまして、ベンチマークソフトと呼ばれるCPUやメモリアクセス等のハードウエアのスペックを可視化するソフトを使って、自分のマシンがいかに高速かを他人に自慢するのが趣味、という妙な生き方をしている方も結構いらっしゃいます。

 こういう方に限ってパワーポイントを使ったプレゼンテーションなんぞは、からっきし駄目、となんていう事も多く、何の為のハイスペックマシンか分からない状態だったりする訳であります。

 PCに関わらず、こうしたちょっと的外れなスペック重視派というのは居るもので、例えばiPhoneの操作性を自慢してる癖にいつ電話しても電話に出ない奴とか、サンスイの真空管アンプの音質の高さを力説する割にはアパート住まいでまともに音が出せない奴とか、最高時速320Km/hを自慢してる癖に道志街道では35Km/hでしか走れない邪魔なGSX1300隼くんとか、陣馬街道和田峠でデローザの6Kg台のフルカーボン・ロードバイクを押して上がっている人などが、それに当たります。

 ちょっとずれちゃいましたんで、話を元に戻しましょう。システム開発系の職場において、最も重要なマシンスペックは、実は、キーボードとマウスの操作性だったりするのであります。コンピュータに詳しい素人の方には意外に聞こえるかも知れません。でもね、キーボードとマウスの操作スピード以上の指示は与えられない訳で、使いやすいインプットメソッドは作業の効率に直結するのです。勿論、最低限のCPU処理能力は必要ですよ。ただ、ほとんどのプロフェッショナルは、入力メソッドにとことんこだわります。マシンを買い換えてもペンタブレットはずっと同じものを使うとかネ。

 PCの操作のうち、日本語の文章を入力する、いわゆる「文章を書く」行為の比率は非常に高く、特に私の場合、システム開発系の職場を離れてからは、その傾向が顕著になりました。最終的な出来上がりはMicrosoft Word形式等にするにしても、体裁を整える以前に、単に文章を入力している時間が結構長いのです。

 こうした作業は仕事場だけではなく、例えばスターバックスなどのカフェで行なう事も、私の場合、しばしばあります。そこで問題になるのがノートPCのバッテリの持続時間なのです。

 現行のノートPCのバッテリは、文房具と呼べる水準には全く達していません。PCの充電はよくもって4時間が限度です。使い方によっては3時間程度になってしまう事も普通です。しかしちょっと考えてみて下さい。例えばボールペンの連続使用時間が4時間しかなかったら、誰もこれを買ったり使ったりしないでしょう。

 何故PCのバッテリの保ちがこれ程悪いのかという原因は明白であります。CPUをはじめとするハードウエアスペックが高過ぎるのです。動画を再生したり、アニメーション効果を追加したりといった機能の為に、高機能高速度だが電力消費の大きいハードウエアを使わざるを得ないのです。インターネットの接続性を確保する代わりに、ウィルス感染を防ぐ為のソフトウエアを走らせる事も必須となります。こうしたウィルスチェッカに食われているCPUパワーたるや、莫大なものでありましょう。今流行りのデュアルコアプロセッサは、バックグラウンドでのウィルスチェッカの実行の為に存在すると云っても過言ではありません。クライアントPCにおいて、ウィルスチェック以外のマルチタスクは、実は疑似マルチタスクで十分でもあるのです。だって、キーボードは1つしかない訳ですからネ。冷静に考えてみれば、我々はちょっとした高機能化の為に、相当に大きなCPUパワーをつぎ込んでしまっている事に気付きます。

 前々から、文章の入力だけに機能を絞った、低速度低電力消費のマシンの出現を待っておりました。オフィスが走る必要はありませんし、カラー画面も必要ありません。ネットへ接続する機能や動画再生機能もいらないのです。ただしフルキーボードの搭載は必須です。小さいキーボードでは、結局、高速な入力はおぼつきませんからね。低機能であるが故に、マシンの立ち上げスピードも速くなるでしょう。文房具とはそうあるべきだと思うのです。Windows7の立ち上げ中のアニメーションを見続けている時間こそ人生の無駄に他ならぬ、と感じているのは私だけではない筈です。

 文房具屋のキングジムから発売されたポメラDM20こそ、こうした私の、いわば時代に逆行する要求に、バッチリ答えてくれるものでした。ポメラDM20のスペックを以下に書き出してみましょう。

  • 白黒のVGA液晶(今時、バックライト無しの白黒!!)
  • 折り畳み式フルキーボード(ノートPCと同じパンタグラフ式)
  • 単4乾電池2本で20時間以上駆動
  • 機能はテキストファイルが入力出来るだけ(音楽も聴けないネットにも繋がらない)
  • 記憶域はマイクロSDHCカード(16Gバイトまで。ってテキストファイルで16Gバイトは十分の十分でしょう。だってあなた、原稿用紙2000万枚分ですよ!)
  • 日本語入力変換システムは、ジャストシステムのATOK(定評のあるシステムです)

 完璧です。これぞ文房具。立ち上げ時間も0.5秒です。実は、7年間も放置していた YasZone をリニューアルしようと思い立ったのも、このポメラDM20を買った事がきっかけでした。だって、いつでもどこでも思い立った時に文章が入力出来るんです。PCみたいに大きくないから持ち運びも便利だし、こいつのお陰でスタバに行く回数が明らかに増えた位です。

 これだけの機能で実売価格は1万円台後半。こりゃ買いでしょう。更に打ち込んだ文章をその場でQRコードに変換する機能もあるので、文章を携帯のカメラ経由で簡単に取り込む事が可能なんです。マイクロSDHCカードを抜き差ししたり、USBケーブルを接続したりといったコミュニケーションも可能ですが、普段は、1.ポメラDM20でテキストを入力する、2.QRコード化して携帯に読み込む、3.携帯からPCにメールで送る、4.PC上で体裁を整えたりといった修飾的加工を施す、というプロセスでほとんどの作業が賄えてしまいます。

 昔、仕事でヨーロッパに行った時、帰りのフランクフルト国際空港でモンブランの万年筆を買った事がありまして、あの時も嬉しくて嬉しくて、些細なメモも全てこの万年筆で書いていたものです。今回のポメラDM20も、まさしくそんな気持ちにさせてくれるアイテムです。

 我ながら良い買い物を致しました。うふふ。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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