ALPS処理水の海洋放出について(第4話:風評被害の加害者は日本のマスコミだ篇)
もそも何故、ALPSで処理済みの水をタンクに溜め続けたのでしょうか。
2011年の原発事故直後から、核汚染されたデブリ冷却水の浄化(核種の除去)は急ピッチで進められました。しかし当初の仕掛けは、総合的な核種除去プラントの体をなしておらず、ヨウ素131だけを除去する仕掛けやストロンチウム90のみを排除する仕掛けなど、単機能の機械を縦長に接続した、仮組みのプラントからスタートしました。
完全に全ての核種が除去出来ているかを検査し、安全性を担保しつつ、除去処理と並行して海洋投棄出来るレベルには、到底達していなかったのです。幾度ものバージョンアップを経て、核種の除去とそのモニタリング方法が確立されていったのですが、その時点で既に、海洋投棄の機会を逸してしまっていたという訳です。
ALPSで処理され、核種が取り除かれた、トリチウム原子を含む水は、タンクにどんどん溜められていきました。しかしタンクを設置する場所は限られていますし、しかも溜められているALPS処理済みの水の安全性は、既に検査で担保されています。海洋投棄の準備は整い、こうした処理や検査の内容も公表され、IAEAの肯定的意見が出たにも関わらず、それでも国内のマスコミの一部は、こうした処理済みの水を、「汚染水」と表記し呼称していました。
物理学的な話からは少し外れてしまいますが、いわゆる風評被害の元を作ったのはマスコミであり、安全な処理水を「汚染水」と表記/呼称する行為は、偽計業務妨害と云われても仕方がない程、政府や東京電力や、IAEAから正式発表されていた事実とは、全く異なるものであったのです。
【つづく】
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