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 地球温暖化対策について考える(最終話:温暖化対策として個人が出来る事篇) 

暖化対策を取り巻く様々な事実を踏まえ、我々個人々々が実行可能な方策を考えてみましょう。例えば、全ての白熱電球や蛍光灯をLEDに変更すれば良いというアイデアも耳にします。確かに白熱電球や蛍光灯に比べて、LED照明を使えば格段に消費電力を抑える事が可能です。しかし人々の善意に頼っていてはこうした変革は遅々として進まないのも事実。白熱電球や蛍光灯の販売自体を禁止し、電球が切れても白熱電球を買えなくするなどの、ある程度の社会的規制を掛け強制的にLED化を進める方が、LED照明へのリプレースは遙かに短期間で進むでしょう。

 自宅の屋根に太陽光パネルを設置する事も一つの方法かも知れません。実際に国や自治体からの補助金を受けて、太陽光パネルを設置した家庭もそれなりにあったと聞いています。しかし自宅の屋根という限られた面積の中で、しかも蓄電設備も無いとなれば、売電・買電のコントロールユニットを一々各家庭に設置しなければなりません。電気エネルギーはある意味工業製品ですから、大きな発電所で一気に作った方が量産効果が顕著になるのは当たり前。その上で再生可能エネルギーの高額買い取り制度が終了してしまった今となっては、設備の元を取ることすら出来ない状態だと聞きます。

 結局のところ、個人々々で出来る温暖化対策は非常に限られていて、実効性を求めると云うよりは、決意を表明するとかモチベーションを向上させるとかその気になるといったレベルのものがほとんどである事が分かります。

 例えばエコバッグ。コンビニ袋の消費量を削減しよう!と声高に導入が叫ばれましたが、実際のところエコバッグを作る為にもポリエチレンやポリプロピレンが使われている訳で、50回とか100回とかのオーダーでエコバッグを使わない限り、逆に環境負荷は大きくなってしまうと云います。ちなみに私の住む東京都日野市の有料のゴミ袋はポリエチレン製で、コンビニ袋の材質とほとんど変わりません。コンビニ袋の利用を規制する一方で、自治体の指定するポリエチレン袋に入れないとゴミを収集して貰えないという矛盾に、疑問を感じるのは私だけではないでしょう。環境々々と云う割には、なんか一貫性に欠けるんだよなぁ。

 結局のところ、パッケージングされたサービスを導入するという形で、温暖化対策に関わっていくというやり方が現実的なのかも知れません。例えば屋根の太陽光パネルと電気自動車用の充電設備をパッケージとして設置して、電気自動車本体を蓄電装置として利用するなどの方法です。将来、太陽光パネルの性能が上がれば、屋根に設置するだけでなく、外壁や窓や駐車場の路面に設置出来るタイプのモノが開発される可能性もあります。現在の発電性能を前提に考えるから元が取れないという話になるのであって、技術の向上が進めば、状況が変化する可能性も十分あるでしょう。

 二酸化炭素の固定化技術や貯留技術、自動車のEV化に伴う高効率バッテリや発電量の底上げ、安全な原発プラントや原発燃料など、開発すべきモノは多岐にわたります。CSS(Carbon dioxide Capture and Storage:二酸化炭素回収貯留)や、リチウム全固体電池や、小型モジュール炉や、トリソ燃料ペレットなど、既にプロトタイプの開発が完了している技術や製品も存在します。いずれにしろ、個人々々の工夫や努力だけでは限界がありましょう。更なる技術革新に期待するのが、最も効率が良い方法と云えそうです。

 さて、この「地球温暖化対策について考える」でありますが、分かりやすく温暖化対策について説明する事を目標に8回にわたり解説を続けて参りました。新技術について語りたい事やご紹介したい事はまだまだありますけれども、一旦ここでペンを置こうと思います。第8話までおつきあい頂きありがとう御座いました。

【おしまい】

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