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  新しい自転車を手に入れろ!(第2話:私がクロモリを欲しがる理由) 

 私が新しく欲しいのは、クロモリの自転車。クロモリとはご存じクローム・モリブデン鋼の事でありまして、主に市場に出回っている、アルミ、カーボン、チタンのものに比べれば、一昔前の材料である事は否めません。重いのであります。今は軽量ロードバイクがもてはやされる時代ですので、重いクロモリは、ツールドフランス等のロードレースにおいては、既に死滅したと云っても過言ではありますまい。

 じゃ、何で今更そんなモノ欲しがる訳よ?ごもっともで御座います。実は3つの理由があるのです。

ブリジストン・アンカー RNC7

 1つ目は、乗り心地やウィップ感の問題です。クロモリは割としなる材料なので、不快なバイブレーションをフレーム自体が吸収してくれるとともに、ペダルに入力した力でフレームがしなる事で自転車全体がバネのように力をため込み、結果として効率よく前進する力に変換する事が可能だと云われているのです。

 2つ目は、云われている程クロモリは重くない点です。パイプの内壁の厚さを場所によって変えたモノをバデット管と呼びますが、現行のクロモリ製ロードバイクのフレームはバデット管が使われており、強度が必要とされる部分を厚く、そうでない部分を薄く作る事で、全体として軽くなっているのです。勿論、最新のカーボン等の材料に比べれば多少の重さはありますが、ホイール等の回転体とは異なり、フレームが車体全体の慣性モーメントに与える影響は、実は軽微なのです。フレームを500g軽くする前に、自分が500gダイエットした方が、走行性能的にも金銭的にも、はるかに有効と云えましょう。

チネリ スーパーコルサ

 3つ目は、何と云っても格好良い点です。これは好みの問題も大きい訳ですが、私は現代風のグラマラスなカーボンバイクよりも、細いパイプでホリゾンタル(トップチューブが水平)なロードバイクへの憧れが強いのであります。少々懐古趣味的ではありますがね。

 クロモリのホリゾンタルなフレームを購入しようとすると、実は選択肢はあまり多くない事に気付きます。やはり各メーカとも最先端材料であるカーボンへの移行が進みつつあり、クロモリのラインナップは減っているのです。例えば私が今乗るピナレロFP2号はアルミ製ですが、現在はアルミの設定はなくなってしまいました。ピナレロというメーカにおいて全ての機種がカーボン製になってしまったのです。ましてやクロモリなんぞピナレロの製品ラインナップには全く存在しません。

 現時点で安定して購入出来るホリゾンタルなクロモリフレームは、ブリジストン・アンカーのRNC7-Equipe、パナソニックFPOSクロモリ、チネリのスーパーコルサ、デローザのネオプリマートといったところでありましょう。この中で私にとっての最右翼はアンカーのRNC7でありました。純国産という安心感もさる事ながら、細かくカラーオーダーしたり、メーカーロゴを抜いたり出来る事がその理由であります。格好も大事ですからね。パナソニックPOSもカラーオーダーが可能ですが、メーカーロゴを抜く事は出来ませんから、アンカーのRNC7の方が私の好みに合うのであります。私はメーカーロゴの無い、ショッキングピンクのホリゾンタルなロードバイクが欲しいのであります。

 でもね、本当はチネリのスーパーコルサのような、メッキを取り入れたフレームが一番好きなのでありますよ。シートステーとチェーンステーの一部とラグ部分をメッキ処理したホリゾンタルフレーム。本当に格好良い!ところが残念な事に、スーパーコルサにはピンクの設定が存在しないのであります。逆にアンカーのRNC7にはメッキの設定がありません。あちらを立てればこちらが立たず。上手くいかないもんですなぁ。

 こうした事をふまえた最大公約数的な回答が、ブリジストンアンカーのRNC7だった訳でありました。

 アンカーのRNC7フレームにシマノ・アルテグラグレードのコンポーネント、ホイールはマングの大将の手組み、という線をベースに相談を始めました。でもスーパーコルサの線も完全に諦めた訳ではないのです。メッキも捨てがたい。でもピンクの設定が無いのがなぁ。やっぱRNC7かなぁ。ところがそれに対する大将の提案は、私の想定をはるかに超えるモノでありました。「Yasさん、フレームビルダにフルオーダー掛けちゃったら?」

 フレームのフルオーダーといったらアンタ、(やまい)膏肓(こうこう)()るレベルの方にのみ許される、趣味としては究極の領域。私の為に私のいう通りに、職人さんにフレームを(こしら)えて貰うなんて、私ごときにそんな贅沢が許される筈がありません。「ははは大将、そんなの無理だよ、予算だって全然足りないし」

 (はかな)い夢だと思っていたオーダーフレーム。もしかしたらそれが手に入るかも知れない。大将の話を聞きながら、年甲斐も無く胸がドッキドキの私でありました。

【つづく】

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