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  自転車に乗って変態になろう!(第9話:マゾヒストへの道篇) 

和田峠のお婆の茶屋。
マゾヒストは、雪が積もっても登ります。

 いやはや、ホイール交換の効能とは大したモノでありまして、平地での巡航速度は明らかに向上し、峠道では一踏み目からスゥッと前に出ていく感じなのであります。円形構造物としての剛性が高い感じ。変形による無駄なロスがほとんど無いのです。更にハブのベアリングの性能も高く、工業製品としての精度の高さを感じます。何かいい加減な仕事ばかりしているイメージだったイタリア人ですが、かな〜り見直しましたよ〜。当初は決戦用にと思って購入したフルクラムレーシング3でありますが、こうなりますと、例え少しの間であろうとも元のホイールに戻す事など考えられません。工業製品だもん、使ってナンボだよね!それにしましても、まさしく素晴らしい性能なのであります。買って良かった〜!

ヤビツ峠は、
宮ヶ瀬側からのアプローチだと
割と簡単に登れます。

 自転車の性能が上がって参りますと、サイクリングもより楽しくなります。本当は機材のレベルが上がっただけで、私がスゴくなった訳ではないのですが、それはそれ。トータルの機能の向上って嬉しいもんなんで御座いますよ。機材スポーツってそういうもんでしょ?

 殊に峠道での性能向上は著しく、今まで喘いでいた坂も、楽にとまではいかないまでも、今までよりもスムーズに登れるようになったとくれば、そりゃ、より一層、峠に足が向こうと云うもんで御座います。今までは主に多摩川サイクリングロードを走っていたのでありますが、かくして、裏高尾の小仏峠でありますとか、陣馬街道の和田峠でありますとか、はたまた宮ヶ瀬からヤビツ峠に遠征したりだとか、とにかく峠への出撃回数が飛躍的に増えて参りました。

 誤解の無いように申し上げておきますと、私は決して登りが速い訳ではありません。きつい坂になりますと、すぐに一桁Km/hに落ちてしまいますし、そもそもコンパクトクランクに、カセットスプロケットも12ー27Tと、最軽のセッティングとなっています。貧脚なのであります。でもね、登りが大好きになってきたのであります。

 自転車で坂を登るのが好き。一般の方からみれば、なんと変態的な嗜好なのでありましょう。多くの方が登り坂を嫌い、それ故にこれだけ多くの電動自転車が売れているのだと聞きます。でも坂を登りたいのです。自分を痛めつけてみたいのです。もう駄目、もう無理。でも諦めない。駄目だと思ってからが本当の勝負なのです。心拍数が上がります。滝のような汗。止まる寸前のスピードでも良いのです。少しずつでも進んでさえいれば、そして足をつかない勇気と根性さえあれば、誰でも必ずや頂上に到達し得るのです。あぁ頂上に到着した時の達成感と言ったら!

 私の場合、他のサイクリストとの競争は好みません。ここがオートバイと異なる部分です。オートバイの場合は、基本的に他人とのバトルですからネ。対して自転車の場合、あくまでも勝負の相手は自分自身。これをマゾヒズムと呼ばずしてなんと表現しましょう。

 更に変態的嗜好は昂進して参ります。マゾヒズムだけではなく、同時にサディズム的な要素も入り込んでくるのであります。追い込まれる事に恍惚としてくるのも自分自身なのですが、「おらおらまだ許さないよ、この豚野郎!」と女王様よろしく追い込んでいるのも、また自分自身で御座いまして、まさしく一人SM状態。

 マゾも変態、サドも変態。それを自分自身で同時に行なう訳であります。変態の二乗。SM的マスターベーションとでも称せましょうか。完全無欠なる、変態の中の変態で御座います。

 人間変われば変わるもんですなぁ。健康診断の度にお医者さんに運動不足を指摘されていたのが嘘のようです。しかし、自分が変わる事で見えてきた事もあります。今までは自転車乗りを見て、「偉いなぁ、何てストイックな人達なんだろ」と思っていましたが、今は彼らの気持ちが分かります。ストイックな気持ちというよりも、単に変態が自己満足的快感を追い求めている傾向の方が強いんですよネ。

 こうした変態的な人は世に多いらしく、様々なサイクルイベントも、より過酷なモノの方が人気が高いのだとか。佐渡ヶ島を一周する「スポニチ佐渡ロングライド210」は、その最たるものだそうですが、その大会キャッチフレーズが秀逸ではありませんか。

 「マゾが佐渡を走る」

 おあとが宜しいようで。

【つづく】

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