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  自転車に乗って変態になろう!(第4話:ビンディングペダル導入篇) 

 軽井沢へのセンチュリーライドを達成し、この結果にとても満足してはいたのですが、同時に、更なるステップアップの為に避けて通れないマイルストーンの存在にも気づき始めておりました。初心者が必ず超えねばならない壁、ビンディングペダルで御座います。

行動の制限とは、官能的なモノなり

 自転車は二輪で走行しますので、当然、停止時には足を着く必要があります。ところがものの本によりますと、効率の良いペダリングの為には足をペダルに固定する必要があるというではありませんか。

 普通、自転車のペダルは「踏み降ろす」力を回転運動に変換します。もし足がペダルに固定されていれば、「引き上げる」力も回転運動に変換出来るだけでなく、入力方向を微妙に変化させる事で、より回転運動に近い入力すら可能になるというのです。こういう漕ぎ方を「引き足を使う」というのだそうです。効率の良さはロスの低減に直結し、今まで登れなかった坂が登れるようになったり、走行スピードが上がったり、より長い距離を走破出来たりと、良い事ずくめのようなのであります。

 ところがどっこい、これがスゲ〜怖い。普段何気なく運転している自転車でありますが、特に市街地におけるストップアンドゴーは思いの外頻繁に行われている訳でして、一々その度にビンディングペダルを外さねばならないのですから厄介な話。勿論、うっかり外し忘れれば、それは立ちゴケに直結致します。安全性の面からも人間工学的にも問題アリの装備。停まる事など考慮せず、走り続ける効率の事だけを考えた仕掛け。それがビンディングペダルなのであります。

醤油の容器
糸魚川の海は
青かった

 ネ?かな〜り変態的な香りがしませんか?元来人間はその行動が制限される事に本能的な嫌悪感を抱くと同時に、かすかな官能感も抱くものなのでありますよ。縄で縛っちゃったりする何とかプレイなんかその典型なのでありましょうネ。

 この変態的な装備を調えるべく、Y'sロード府中多摩川店に出掛けまして、シマノ製SPDペダルと専用シューズを購入して参りました。いやはや散財であります。元々の自転車本体の値段が安かったとはいえ、本体の数倍の金額が様々な装備に既に投入されているのであります。装備も変態的であれば、投資額も変態的なのであります。でもネ、この変態的な行為がタマらないのだなぁ。ぐふふふふ。勿論、こんなに小遣い使ってるなんて事、かみさんには言えませんがネ。

 ビンディングペダルの効果を試すには、長距離を走るか、坂を登るかという事になります。そこで、両条件を同時に満足させる究極のテストを実行する事にしました。太平洋から日本海まで走破しようというのであります。


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 まずは早朝と云いますかまだ陽も明けやらぬ深夜に家を出まして、一旦羽田に向かいます。ここで海の水を醤油の入れ物にいれます。醤油の入れ物とは、持ち帰り寿司なんかでよく使われている魚の形をしていて口の部分が赤いキャップになっているアレで御座いますよ。この羽田の海の水を大切に携帯し、多摩川サイクリングロードを日野まで西進、更に国道20号通称甲州街道をひたすら西へ進みます。大垂水峠を越え、笹子トンネルを抜け、甲府盆地をひた走り、富士見峠を越えて諏訪に下り、塩尻峠を越えます。塩尻からは国道19号にスイッチ。松本から国道147号を大町方面に左折。白馬を通って国道148号で新潟県糸魚川市まで行って、羽田で採取した太平洋の水を、日本海にポチャっと落とすという、これまた大変に変態的な計画を立てたのであります。

 結果から申し上げますと、ビンディングペダルの効能とは大したモンでありまして、惜しくもゴール手前約60kmの白馬駅前で日没を食い、当日中の到着を諦めて宿泊は致しましたけれども、無事、羽田→糸魚川の走破に成功したのであります。勿論、海の水をポチャっとやって参りましたよ。え?ポチャっとやる事に何の意味があるのかですって?ふふふ。変態に理由なんか無いのでありますよ。例えばオカマの方に女装している理由を尋ねても無駄である事は、想像に難くありますまい。いやん馬鹿んアンタも好きねぇん、の世界なんでありやんす。

 本当はこの日、無理をすれば宿泊せず、当日のうちに糸魚川に到達する事は可能でありました。白馬から先は下り基調の道。しかも日本海まであと60Km弱しかありません。もうちょっとだったのであります。でもこの国道は酷道と呼んでもよい程大型車の通行量が多く、更に南小谷から姫川までの区間は、トンネルだらけなのであります。体力的には何とか可能だとしても、安全の為に宿泊を選んだって訳です。

 官能的ですらあるビンディングペダルの効能に惚れ込んじゃうは、白馬を通って太平洋から日本海まで300Km以上のツーリングをするは、いわば「変態極まれり」の状態になってきたのでありました。距離感は完全に崩壊寸前です。だって、白馬で「あとたった60km」って考えている訳でありますよ。60Kmの距離を「たった」と考えられるようになったあたり、既にフツーの方々から見れば完全な変態野郎と云って差し支えないでしょう。

 かくして私の変態化は加速度的に進んでいったのでありましたとさ。

【つづく】

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