あれこれ memorandoms やすなべ categorized Yasの状況 activities Yasについて about Yas Yasへの連絡 contact us

  自転車に乗って変態になろう!(第3話:距離感が徐々に崩壊してくる篇) 

 ロードバイクに乗らない方にとって、80Kmの自転車ツーリングは十分に変態的であろうかと思います。ところが人間の適応力たるや物凄く、これが慣れてきてしまうんですねぇ。変態の方は自分の事を変態だとは思っていないといいます。こんなのフツーだぜって考えるんでしょうな。このようにして、普通であると信じていた自分の距離感は、一般常識からは乖離し続けていくのでありました。

たまリバー50キロ

 多摩川サイクリングロードとは、多摩川の土手上の道の総称です。一級河川の河川敷ですから持ち主は国土交通省になります。ただし管理は近隣の市町村に委託されていますので、場所によって多少運用方法が異なるのです。例えば大田区内では自転車レーンと歩行者レーンが分かれていますが、その他の地区では「自転車も人も左側通行」となっていたりという具合であります。

高崎からは絶望的な登りです

 このように基本的に地区によってバラバラな運用の多摩川サイクリングロードですが、東京都がこれらをまとめて、統一的な案内板を整備しました。その名も「たまリバー50Km」プロジェクトであります。羽田から羽村までは約50Km。四谷橋から多摩川サイクリングロードに入り一旦下流の羽田まで行き、そこから一気に上流の羽村取水堰に移動。更にまた四谷橋まで戻ってくれば、結果として多摩川サイクリングロード全線を往復した勘定になります。そうです。平地の100Kmコースの出来上がりです。

 この頃になりますと、羽田で一回、羽村で一回休むだけで、100Kmを走破出来るまでになっておりました。ついに私は100Kmを「自分の距離」としたのであります。三桁Kmを自転車で走る。一般の方から見れば変態と呼ぶには十分でありましょう。


大きな地図で見る

 ところがこれで終わらないのが、変態の変態と呼ばれる所以であります。センチュリーライドという言葉をご存じでしょうか?センチュリーとは一般的に「世紀」と訳されるアレであります。1世紀は100年間。故にセンチュリーという言葉には「百」という意味もあるので御座います。センチメートルの「センチ」も同じ語源です。ね?100センチで1メートルでしょ?センチュリーライドとは100マイル走を意味する言葉なのであります。

 100Kmという距離を複数回経験し、既に慣れ始めていた私にとって、この100マイル=160Kmという距離が、次なる目標となったのでありました。

 日野から国道16号を川越方面にひたすら進み、そこから群馬県の高崎を目指した後、安中市経由で碓氷峠を越えますと、軽井沢でちょうど160Kmとなります。という訳で次の目標は軽井沢に決定致しました。

 車が多い事を我慢すれば、高崎まではそれほど苦労はありません。それもその筈、高崎までが関東平野であり、ほとんど標高差がないのです。とはいえそれなりの距離がありますから、全然疲れないといえば嘘になりますが、「クタクタで動けなくなっちゃった」なんて事はありません。

 いよいよ高崎を離れ、安中に向かいます。道はダラダラとした上り坂で、既に蓄積しつつあった疲労が、ここで一気に表面化して参ります。スピードが上がらないのであります。

 なんとか、峠の釜飯で有名な横川に到着しました。いよいよ行程は碓氷峠越えを残すのみであります。新道碓氷バイパスではなく、旧道碓氷峠に進路を取ります。キツい。まじでキツい。足を着きたくなるのを我慢し、ゆっくりゆっくり漕ぎ進みます。

 もう駄目。もう無理。足がパンパン。心臓バクバク。泣く寸前。でも足を着けません。足を着いたら最後のような気がして、踏ん張り続けます。そりゃキツい筈です。碓氷峠で約800mもの獲得標高があるのですからネ。

 あきらめかける事数回、祈るような気持ちでカーブを曲がるとそこには突然「長野県」の文字。やった〜。登りきったぞ〜。群馬:長野県境が峠の最高地点。ここから軽井沢駅までは下りです。程なく軽井沢駅に到着。駅前の喫茶店で、かき氷メロン、かき氷レモン、かき氷いちごを一気に注文し、白眼視されたのは私であります。しかも「どちらから?」という店のおばさんの質問に対し「東京から自転車で」と答えたところ、おばさんの目は完全に、変態を見るそれに変わったのでありました。

 このように160Kmの距離もクリアし、私の変態度はいよいよエスカレートしたのでありましたとさ。

【つづく】 

【「自転車に乗って変態になろう!」の目次に戻る】

【「やすなべ」の目次に戻る】

Copyright(C) by Yas/YasZone