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  母ちゃんライダーの愉快な単車生活(バイクライフ)(第4話:危うし、ゼファー750号 前篇) 

山中湖1泊ツーから無事帰還。無事故無違反無検挙無立ちゴケ。「家に着くまでが遠足ですよ」の精神に則って、安全運転に努めましたよ。ガキ乗せて事故ったらシャレにならないでしょ。あ〜楽しかったねぇ。また行きたいねぇ。

ゼファー750号、瀕死の状態です。
急に動かしたら、一挙にトラブルが出ました。

 母ちゃんライダーのゼファー750号は、普段、玄関先の生垣に沿う形で停めてあります。車の出入りに支障が無いようにギリギリに寄せておくんです。ここ、立ちゴケの危険地帯なんですよね、母ちゃんライダーにとって。だからいつも母ちゃんライダーのゼファー750号をしまうのは私の役目なんで御座います。相変わらずエバってるなぁ(笑)。この日もツーリングで疲れきっちゃった母ちゃんライダーの代わりに、私がゼファー750号を所定の位置に移動しておりました。えぇえぇ、我が家の実権を握っているのは母ちゃんライダーですから、彼女の命令に逆らうなんてトンでも御座いません。どうせ慣れた作業ですしね。ところがこの日はいつもとちょっと状況が違いました。マシンの異変に気づいてしまったのであります。「あれ?オイル漏れてない?」

青い矢印部分のシール不良なんですが
これを交換する為にはエンジンを
バラバラにしなくちゃなりません。
エンジンって、上からしかバラせないんですから。

 クランクケース右側部分がべっとり。触ってみると完全にエンジンオイルです。ツーリングに出る前の整備の時には漏れていなかった事は確認していますから、今回の1泊ツーリング中にトラブったようです。しばらく乗らないでいて急に動かすとこういうトラブルって出るんですよね。特に母ちゃんライダーのゼファー750号のように、生産から12年も経過している旧車は。

「お前さ〜、オイル漏れてるんだけど気が付かなかった?」
「そういえば今朝ねぇ、ペンションの駐車場で、『あぁ、なんか濡れてるなぁ。夜露かな』って思ったんだ」
「ってどう見てもオイルだろ、こりゃ」
「そだね。途中休憩した時、『夜露の癖になかなか乾かないなぁ』って思ったよ」
「何言ってんだよ。夜露だったらエンジン掛ければすぐに乾くだろ?そんな事もわかんないのかよ、お前は」
「分かるわけ無いじゃん。PTAのお母さんでもそんな事分かる人居ないよ」
「そんな話してんじゃねぇんだよ。オイルが漏れてるんだってば」
「そなの?じゃ、直しといてよ」

 母ちゃんライダー、相変わらず軽く言ってくれるなぁ。とりあえず漏れてる箇所を特定しようってんで、クランクケースをパーツクリーナで綺麗に脱脂した後、近所を一周してくる事にしました。こうやって一旦綺麗にしておけば、漏れている箇所や量を特定しやすいのであります。ガキ乗せてタンデムしてたから疲れてるのになぁ・・・なんて事はありません。断じてありません。絶対ありません。いとしい母ちゃんライダーの愛機の調子を見るのは、下僕、もとい、配偶者の重要な務めなのでありまするよ。

フロントフォークの
オーバーホールも
部品点数が多くて
結構大変なのよ。

 久々にゼファー750号を運転してみて、こりゃビックリ。予想以上に滅茶苦茶な状態です。まずは前ブレーキ。ブレーキがふにゃふにゃで、ブレーキレバーを根元まで握れてしまう状態。危ねぇなぁ。後で改めてチェックしてみる必要がありますね。次にフロントフォーク。全然踏ん張りません。スカスカです。フォークオイルが入っているかどうかも怪しい状態。だってふにゃふにゃのスポンジーなブレーキなのにも関わらず、軽く掛けただけでフルボトムしちゃうんですもん。よくこんな状態で転ばずに帰ってきたよなぁ。っていうか、母ちゃんライダー、ブレーキ使ってんの?

 更に4速以上でフルスロットルにするとクラッチが滑ります。こうなりゃ逝くのも時間の問題。いずれすぐにクラッチ滑りまくりで発進すら出来ないようになっちゃうのは必至。それにしてもこんな状態なのに、なんで母ちゃんライダーは気がつかないんだろ?まったくもって、無知というのは恐ろしいもんですなぁ。彼女曰く、「これが普通かと思ってた」ですと。バカにも程がありやんす。

 さてさて肝心のオイル漏れ箇所なんですが、これが絶望的。クランクケースとシリンダの間のシールから漏れてる事が判明致しやした。しかも結構重症。「漏れてる」というよりは「吹いてる」と形容した方が適切な状態です。急にオーバーレブ(レッドゾーン以上に回した状態)させた訳じゃ有りませんから、これも12年もの間、経年変化が徐々に進み、たまたまこのタイミングでトラブルが出現したという事でありましょう。もうこうなりゃ、婆ァの脳溢血と同じ。ココだけ治しても、いずれ他の箇所から漏れてくるのは想像に難くありません。

クラッチはある意味消耗品。
だけど、こんな状況で同時に
交換時期が到来しなくても
良いと思いませんか?
神様の、いぢわる。

 それにしても場所が悪い。あまり詳しくない方の為に説明致しますと、エンジンは上から、ヘッドカバー、シリンダヘッド、シリンダ、クランクケースという順番で組まれています。これらの接合部には「シール」と呼ばれるいわゆるパッキンのようなものが挟まれていて、これを挟んでネジでギュっと締めつけることでオイル漏れを防いでいるのですが、今回のトラブルはエンジンの下の方、シリンダとクランクケースの接合部のシール不良なんですよ。一般的にエンジンは上からしかバラせませんから、このシールを交換するとしたら、フレームからエンジンを下ろすのは当たり前として、エンジンをバラバラにしなくちゃなりません。当然キャブレタも外さなきゃなりませんし、排気管も降ろす事になるんですな。

ブレーキラインのエア抜きをしても
状況が改善されないという事は
これらの部品のほとんどを
交換しなきゃいけないって事なのよ。

 絶望的な部分に着目すると暗くなっちゃうんで、オイル漏れに気が付かなかったフリをしながら、先にブレーキを検査する事にしました。祈るような気持ちでブレーキラインのエア抜きを行います。これもあまり詳しくない方の為に解説致しますと、母ちゃんライダーのゼファー750号は油圧ディスクブレーキという仕掛けを搭載しておりまして、ようは油圧で力を伝える事でブレーキを掛けるようになっているのです。右手のブレーキレバーの根元にマスタシリンダという、いわばポンプのようなヤツが御座いまして、このポンプで圧力を加えられたフルードと言われる液体がブレーキチューブを介してキャリパと呼ばれる万力みたいなヤツを動かして、ディスク板を挟む仕掛けなんですな。このブレーキチューブ(ブレーキラインとも言います)の中に空気が入っていると力の伝達にロスが生まれて、ブレーキがふにゃふにゃになっちゃうんです。あ、ほれ、看護婦さんが注射打つ時に、注射器の先から空気抜くでしょ?あれと似たようなもんですわ(ホントは全然違うんですが、流石に説明が面倒くさい・・・(苦笑。ユルシテネ))。

 がーん。更に事態は悪い方に。ブレーキラインのエア抜きをしたというのに状況は変わりません。という事は、ブレーキチューブが変質して圧力に耐えられなくなっている(力が掛かるとボヨ〜ンと膨張している)か、マスタシリンダが変質して使い物にならなくなっているかのどちらかという事なのです。またしても部品交換の必要あり。いい加減にしてよねぇ。

 クラッチはある意味消耗品なんで、滑り始めたとありゃ交換するしかありません。とはいえ、こんな絶妙のタイミングで交換時期が到来しなくてもいいのに〜。神様のいぢわる〜。

 こりゃ、かなりの金額になりまっせ。部品点数だって半端じゃないし。せっかく春になって活動を開始しようとした途端に、これだもんなぁ。母ちゃんライダーのゼファー750号、想像以上の重症です。もしかしたら廃車にして新しいの買った方が安いかも知れません。とにかく正確な見積もり金額を出す方が先決です。近所のバイク屋に、私が全幅の信頼をおく坂口氏というメカニックが居るんですが、彼に連絡して見積もりを出してもらう事に致しました。

 楽しさの絶頂から奈落のどん底に突き落とされた感じで御座います。いまや母ちゃんライダーのゼファー750号の命は風前の灯。はてさて、ゼファー750号の命運や、いかに・・・。

【つづく】

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