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  母ちゃんライダーの愉快な単車生活(バイクライフ)(第1話:冬眠から覚めたゼファー750号篇) 

ライダーにとって待望の季節、春がやって参りました。冬はとにかく寒いし、路面温度が低いからタイヤのグリップもいまいちだし、単車乗りにとってはやな季節なんだよね。みんなもそうだと思うんだけど、冬はどうしてもバイクで出掛ける機会が減っちゃうんだよ。特に最近の母ちゃんライダー、寒いからと言ってはバイクに乗らない、暑いからと言ってはバイクに乗らない。それどころか、風が強いから、乾燥してるから、学校の保護者会があるから、猫が顔洗ったからなんて理由までつけて乗らないのであります。おばさんになったという事なのかなぁ。ねぇ母ちゃんライダー、最近たるんでない?小雪が舞う中、教習所に通ったあのガッツはどこ行ったの。せっかく買ったゼファー750号が泣いてるぜ。

 皆さんご安心下さいませ。そこまで言われて黙ってる母ちゃんライダーではありません。我らが母ちゃんライダー、自らのだらけきった態度に大いに反省した様子。そうだよね。我々の愛の証、スイートテンバイクをなおざりにするなんてもっての外。という訳で、冬眠状態になっていたゼファー750号を目覚めさせるべく、きっちりと整備しようという事になったのであります。ちょうどZRX1100号のメンテサイクルとも重なってるしね。家の前の駐車場に2台のバイクを並べて、いざメンテナンスで御座います。

 まずはきれいに洗車。洗車ってメンテの基本中の基本なのよ。汚いままだとオイル漏れとか錆とかネジの緩みとか見落としがちでしょ。それにしても母ちゃんライダーのゼファー750号、そこらじゅうにうっすらと錆なんか浮いちゃって、結構悲しい状態。ピカールとステンマジックと花咲かGでピカピカに磨きましょ。冬の間も定期的に乗って、メンテもきちんとしてたZRX1100号とはえらい違いだねぇ。

 一通りきれいになったところで、お次はオイル交換。ゼファー750号は前回の交換から1000Kmしか経ってないけど、季節の変わり目にオイル交換するのは、これ常識。距離乗ればオイルが劣化するのは当たり前だけど、乗らなくても徐々に劣化していくモンなのよ。ZRX1100号は前回の交換からちょうど3000Km。メンテサイクルとしてはピッタリのタイミングだね。

 あとは各部のグリスアップ。レバーやペダルなんかの稼動部は、出来得る限りバラしてピッチクリーナで古いグリスを落としてからグリスアップ。おっと母ちゃんライダー、ゴム類にモリブデングリス盛るのはやめようね。ゴムがぼろぼろになっちゃうよ。しかもこのグリス高価いんだぞぅ。そうそう、ゴム部分はシリコングリスでね。あ〜あ、母ちゃんライダーのバイク、そこら中でグリス切れだよ。緩めたボルトもワイヤブラシできれいに掃除して、ネジ山に薄くグリスつけて締めときましょ。こうするとネジを痛めないし、固着しにくいんだよ。

 チェーンはディグリーザで脱脂した後、RKのチェーンルーブを吹いときましたぜ。白いテフロン入りのじゃなくて昔ながらのべとべとオイル。白いチェーンルーブって手軽だけど仕上がりが美しく無いじゃん。たっぷり吹いて、よ〜くなじませたら、余分なオイルはウエスできれいに拭き取ります。去年折角DIDのXリングゴールドチェーンに変えたってのに、ちゃんとメンテしなきゃダメだぞぅ。

 母ちゃんライダーのゼファー750号、ハンドルグリップのゴムが硬化しちゃってツルツルテカテカ。ダメだねこりゃ。新しく近所にオープンしたドライバースタンド二輪館 南大沢店に行ってグリップラバーを買ってきました。イエローコーン製1800円也。ね?新しいグリップラバーはキュッと手になじんで気持ち良いでしょ。これが普通なんだよ。万が一の脱落防止の為にワイヤリングして出来上がり。チッチッチッ。普通の鉄の針金じゃないよ、ステンレス製の針金。おいら、A型なんで、こういうとこ結構こだわっちゃうんだよね。

 カッコだけで選んだプレス仕様のショートミラーが見難いってんで、ついでに社外品のミラーも買ってきましたよ。クロムメッキが美しいナポレオン製ミラー。鏡部分は薄いピンク色で防眩加工品。だいぶサマになってきたね。ゼファー750号ばっかし整備してるんで、今度はおいらのZRX1100号の番だよ。

 ZRX1100号は前回スパークプラグを交換してから5000Km。これもちょうど交換時期。ホントはDENSOのイリジウムプラグが良いんだけど、NGKの普通のプラグに交換。だって高価いんだもんイリジウムは。高品質プラグをはめっ放しにしてるより、普通のプラグを頻繁に交換した方が良いんだよ。って負け犬の遠吠えかぁ?

 プラグ交換の為にタンクを外したついでにクーラントも交換。知らない人も居るかも知れないから念の為に言っておくと、クーラントって冷却水の事。オヤジ言葉でいうところの不凍液ですな。ロングライフクーラントの略でLLCとも言うよ。ZRX1100号の場合、ラジエタキャップがタンクの真下にあるから、タンクを外さないとクーラント交換が出来ないのさ。ウォータライン最下部のドレンボルトを抜いてラジエタキャップを外して古いLLCを全部抜きとります。おっとリザーバタンクに残った分も忘れずにね。水道水を通して冷却ラインを洗浄したら、新しいLLCを入れます。比率はLLC:水=1:1。対凍温度はマイナス35度。こらから夏だってのにこんなに濃くしてどうするのって思うかも知れないけど、LLCの濃度を上げると比熱が大きくなるから、温まりにくくなってオーバーヒート防止になるんだよ。冬こそ薄めにしなきゃ暖気に時間が掛かっちゃうんだ。知ってた?もちろん住む地域によってLLCが凍らない設定にするのは大前提なんだけどさ。エンジンを掛けてサーモスタットが作動するまでアイドリングさせるとラジエタ本体にもクーラントが還流するから、その流れ込んだ分を補充して交換作業はおしまい。おっと、バイメタルのとこのエア抜きバルブから空気を抜くのも忘れずにね。

 ふと母ちゃんライダーを見ると何故か膨れっ面。おいおい、お前のバイクもきちんとメンテしてやったってのに、何怒ってんのさ〜?

「ふん。何さ。自分ばっかり」
「どしたんだよ、いきなり」
「私のバイクには茶色い汚いオイル入れてさ」
「オイルは普通、茶色いもんだぜ」
「自分ばっかり良いオイル入れてるじゃん」
「そんな事無いよ。同じ銘柄のオイル入れたじゃん」
「嘘ばっかり。私が何にも分かんないと思って騙してるでしょ。いつもそうなんだから」
「なんだよ。人聞きが悪いなぁ。そんな事無いよ」
「嘘言っても分・か・り・ま・すッ」
「嘘なんか言ってないよ」
「嘘つき!」
「何怒ってんだよ?」
「自分だけ良いオイル入れたくせに」
「言い掛かりだよ。同じ缶から入れるの見てたろ」
「違うよ。後から入れたオイルの事」
「何それ?」
「きれいなグリーンのオイル。最後に入れたでしょ?自分だけ」
「へ?」
「ずるいよ。自分だけグリーンのオイル入れて」
「は?」
「タンク外して入れたじゃん」

 母ちゃんライダーが言い掛かりをつけてきたのはクーラント(冷却水)の事らしいのであります。確かに入れましたよ。えぇえぇグリーンの液体をね。でもさ、無理言うなよな。お前さんのゼファー750号は空冷エンジンじゃん。クーラントで冷却する水冷エンジンのZRX1100号とは根本的に構造が違うんだよ。ゼファー750号にはクーラントを入れるところなんて無いのッ。

「だってお前のバイク、空冷じゃん。ラジエタついてないのに、どこにクーラント入れるんだよ」
「ラジエタって何よ」
「ここについてる網のお化けみたいなヤツだよ。これでエンジンを冷やしてるの」
「あ!」
「今度は何だよ?」
「いつの間にこんな部品買ったのよッ!」
「納車のときからついてたよ。当たり前だろ、水冷なんだから」
「ふんだ。嘘言っても分かるんだからね。こんな部品買うお金が有るんだったら、来月からお小遣いを減額しますッ!」

 とほほのほ。せっかく一生懸命メンテしてあげたってのに、あらぬ疑いを掛けられて、結局小遣い減額かよ〜。ただでさえ少ないってのに。それにしても、もちっと勉強してちょ〜だいね、母ちゃんライダー!

【つづく】

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この文章は、ほとんどホントの話ですが、一部、脚色されています(笑)。
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