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  お遍路へ行こう!(第10話:涅槃の道場(讃岐香川)篇) 

とうとう、八十八ヶ所巡礼が完了しちゃった。なんか感覚的にはあっという間だったねぇ。原稿読み返してみると結構長いけどさ。旅をしながら原稿書き続けるのってキツイ時もあったけどさ、こうして読み直してみると面倒でも書き続けててホントに良かったと思うよ。読み返すとその時の事鮮烈に思い出すもんね。その日その日にちゃんと書き留めておかないと、細かい事忘れちゃうもんなぁ。


 2001-11-15(木)

  • 昨夜は唯一の同宿客、大石さんとずっと話をしていて遅くなっちゃった。グース250浜松ナンバー号を駆る姉ちゃんライダー。沖縄行ってきた帰りなんだって。凄いね。女性がだよ。ほとんど野宿で沖縄、それもバイク自走で行ってきたんだって。話がとっても面白い。荷物も物凄かったけどさ、ほとんど引越し(笑)。みみちゃん【注を参照】を超える、「勢い」のある女性に久しぶりに会ったよ。
      
     編集部注:「みみちゃん」とはCBR600F号を駆る私の友人で、そのアクセルのあけっぷりの豪快さに関しては、とても有名な姉ちゃんです(笑)。箱根椿ラインの女王と言われています。でも、立ちゴケが多いのが唯一の弱点(爆)。
新長谷寺YHにて。
YHというより宿坊。
  • 朝、和歌山経由で浜松に帰る大石姉ちゃんと一緒に出発。国号192号を一緒に走ります。旅は道連れ世は情けってね(笑)。
      
  • 県道8号線への分岐で別れる。おいらは66番雲辺寺(うんぺんじ)目指して、大石姉ちゃんは徳島フェリー港目指して。じゃあね、気を付けてね。
      
  • 66番雲辺寺は物凄い山の中。ロープウエィで登るんだよ。自走で行ける事は行けるんだけどね、景色も見えないし、ロープウエィに乗ることに決定。往復2000円也。おいら、乗り物好きなんだよね。お子ちゃまチックだけどさ(笑)。実はロープウエィに乗るだけでワクワクしてます(爆)。
66番雲辺寺ロープウエィ山頂駅より下界を望む。
既に紅葉がきれい。
瀬戸内海の向こうに本州が見えます。
絶景。
  • 66番雲辺寺は五百羅漢を整備していて、あらゆるところに石像があるんだ。ちょっとリアルで、夜来たらかなり怖そう。無事お参りを済ませ、納経印を貰おうとしたら、団体さんとバッティング。あちゃ〜。痛恨。結局納経印を貰うのに40分ほど待たされましたとさ。
66番雲辺寺にて。
後ろに見えるのが500羅漢のホンの一部。
夜見たら、きっと怖いぞう。
  • 雲辺寺さえ済めば、今日はあとは街中のお寺ばかり。意気揚揚とバイクを走らせます。でもね、結構ロープウエィで時間食っちゃったから、この時点で既にお昼回っちゃったんだ。
      
  • 今日は、73番出釈迦寺でタイムアップ。5時ギリギリで、何とか納経印をもらう事が出来ました。普通の人はもっと早く回るんだろうけどさ、おいらは割とゆっくり回るほうなんだよね。お庭見せて貰ったり、お坊さんと話をしたり。その方が面白いじゃん。スタンプラリーじゃないんだからさ。あれ?確実に意識が変化しとりますぞ、当初に比べて。
      
  • まだ降ってないけど今夜の降水確率も高いんで、大事を取って多度津町の海岸寺YHへ。ここ八十八番のナンバリングは無いけど、番外札所なんだよね。いわゆる宿坊です。ユースホステルって意識のかけらもありません(笑)。「好きなとこで寝て良いよ」だって(爆)。
香川県多度津町の海岸寺YHにて。
御覧のとおり宿坊です。
泊り客はおいら一人だけ。

 

 2001-11-16(金)

  • 6時に朝のお勤め。ロウソク上げて線香立てて、お経を読みます。まだ寒いよ。
      
  • ウダウダしてたら、もう8時。早く出発しなくちゃ。
      
  • 74番甲山寺からスタート。すぐに75番善通寺に到着するも、このお寺、広いのなんのって。善通寺があるから「善通寺市」なんだろうけど、それにしてもデカイ。駐車場には10台を越える観光バスが停まっていて、それもお遍路さんのバスじゃなくて、一般観光客のバスばかりなんだ。今までお寺の駐車場にバスが停まっている事はたくさんあったんだけど、観光客がこんなに多いお寺は初めてだよ。場所柄、「こんぴらさん」詣の観光ルートになってるんだろうね。
      
  • お遍路始める前だったらこんな衆人環境の中で白衣着て(チョッキですけどね。でも一応、南無大師遍照金剛って書いてあるやつ)、般若心経+舎利礼を詠むなんて出来なかっただろうね。恥ずかしい気がしてさ。でもね、バイクに乗ってるとはいえ、これでも74ヶ寺を巡拝してきた「お遍路さん」だよ、おいらは。「若いのにねぇ・・・。お坊さんかしら」なんて外野の声も何のその、朗々と詠んで参りましたとさ。
      
  • 75番善通寺のお参りを済ませて、ちょいと寄り道。どこ行くのって?「こんぴらさん」に決まってるじゃない(笑)。香川に来たなら、こんぴら詣して、讃岐うどん食わなくちゃ。
      
  • 程なくこんぴらさんに到着。さて、服装チェンジするか。おいらね、いつもはトレーナー着て、その上にイエローコーンのカッパ着て(上だけ)、更にその上に白衣のチョッキ着てるのよ。運転中も巡拝中も。他のお遍路さんは白衣だけの薄着なんだけどさ、バイクだと寒くて寒くて(笑)。でも「こんぴらさん」は巡拝とは関係の無い「神社」。だから白衣を脱いで、おいらも「観光客」しようと思ってさ。白衣ってお遍路さんの為の神聖な服だからさ、観光中にきてるのも変でしょ?
      
  • 有名な「灸まん」本店で灸まん(お灸の形の饅頭)+抹茶を頂いて、同行二人頭陀袋を預かって貰って、杖を借りて、いざ出発。急な石段を登ります。
香川県琴平町の琴平宮、通称こんぴらさんにて。
石段を登りながら下を振り返ると、
琴平の町が一望出来ます。
この時点で、20%登頂完了といったところ
  • いろんな人に「大変だよ」と言われてきた、こんぴらさんの石段だけど、何の事なく登頂成功。結構眺めが良く、瀬戸大橋(かな?坂出の橋)まで見えました。
写真が小さくて分からないかもしれないけど、
瀬戸内海と、橋が見えました。天気良かったしね。
右の写真は琴平宮の本宮。
  • 「家内安全」のお札木と、「幸せの黄色いお守り」(ホントにこういうキャッチコピーで売ってるの。観光地化してるなぁ)を家族の人数分買いました。
      
  • こんぴらさんの参道沿いのうどん屋で讃岐うどんを食す。ホントは美味しい店を下調べしとけば良かったなぁ。わかんなかったから、目に付いた店に入っちゃったよ。でも関西風のダシのきいた味で、割とイケました。
      
  • さて、観光はおしまい。白衣のチョッキ着て、お遍路モードに戻ります。
      
  • 76番金蔵寺から80番国分寺までは讃岐平野に位置するお寺。道も分かりやすく、割とスイスイ進みます。
      
  • 81番白峰寺、82番根香寺は、五色台と呼ばれる山の上に位置します。道は適度にクネクネでバイクにはもってこいの道なんだけど、夕方になってきたから結構寒かったよ。
      
  • 82番根香寺のお坊さんと長らく話をしていたらあっという間に時間が過ぎて、5時近くになってました。今日はここでタイムアップ。
      
  • 明日の為にちょっとでも距離を稼いでおこうと高松市内に移動。次の83番一宮寺は、高松市内のお寺なんだよね。実はこれが仇となったのでありました。
      
  • 香川県の県庁所在地高松市の、それもど真ん中に位置する「中央公園」にテントを設営するも、すぐに職務質問&撤去命令を食らって、あえなく今夜の寝床を失ってしまいました。人相悪いからなぁ(笑)。誰かが通報したんだろね。「タリバンの残党が中央公園に潜伏してます」とかなんとか(爆)。
      
  • 仕方が無いので、JR高松駅前のビジホに宿泊。今日明日は晴れの予報だし、テントでいきたかったんだけどなぁ。
      
  • ホテルで地図見てみると、明日には88番大窪寺まで行けそうな予感。いよいよ結願(けちがん)だよ。今夜はビジホで電源の心配が無いから、今までの原稿を読み直してみる。結構色んな事があったなぁ。原稿書くのが面倒くさい日もあったけど、詳細にメモを取ってて良かったよ。色んな場面を鮮烈に思い出せるもんね。

 2001-11-17(土)

  • 今日は83番一宮寺からスタート。高松市内だから、割とすんなり到着。おそらく今日が最後の巡拝になるので、気合を入れる為に鐘楼に上がり、鐘を鳴らして、巡拝を始める。
      
  • 続く84番屋島寺は屋島ドライブウエィを上がった所にある山のお寺。ここって源平の戦いの、あの屋島だよ。
屋島ドライブウエィから瀬戸内海を見下ろす。
ドピーカンで気持ち良い。絶景。
  • 85番八栗寺に行くには、普通ケーブルカーを利用するんだけど、おいらは歩いて登ってみました。20分くらいかな。帰りは当然ケーブルカーを利用。当然でしょ(笑)。おいら乗り物好きなんだもん。おこちゃまチックだけど(爆)。
八栗寺のケーブルカー。
古くていい味出してます。
  • 86番志度寺、87番長尾寺をクリアして、いよいよ最終の88番大窪寺にやってきました。
      
  • なんか感無量。これで巡拝もおしまいかと思うとちょっと悲しい。ものすごく丁寧に読経して、納経印を貰う。
      
  • 既に夕方になっていて、とても寒くなってきました。
      
  • それは、山門の前に停めてあったバイクまで戻り、一番霊山寺へのルートを確認していた時の事でした。
      
  • 手に持ったツーリングマップル(地図)の上にてんとう虫が飛んできてとまりました。この寒いのにてんとう虫が。信じる信じないは勝手だけど、俺はその瞬間に「婆ちゃんだ」と確信しました。
      
  • その、黒地に赤星2つのてんとう虫は、いつまでもツーリングマップルの上から動きません。指で触っても動きません。まるでそこに居たいかのように。
      
  • 俺は動こうとしないてんとう虫を山門近くの葉っぱの上に移しました。おかしいかも知れないけど、あれは絶対に婆ちゃんでした。きっと俺が結願するのを最終88番大窪寺で待っていたに違いありません。
      
  • おいらは徳島に向かう為に、山門の前で、Uターンしました。そしてその葉っぱの前でクラクションをピッっと短く鳴らして婆ちゃんに別れの挨拶をすると、アクセルを開けました。  

 皆様のお陰をもちまして、無事、結願(けちがん)する事が出来ました。でも、お遍路はこれで終わりではありません。最初に出発した一番霊山寺へのお礼参り、更に和歌山県の高野山奥の院へのお参りが残っています。

 これらの模様と、巡拝全体を通しての感想は、次回(このシリーズの最終回)にて書かせて頂こうかと。

【つづく】

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