回に引き続き、日記調を踏襲する事にしやした(笑)。えへへ。箇条書きだと楽なんだよね、実は。
2001-11-01(木)
- 朝、起きてすぐ撤収準備。ここ、ただの公園なんだよね。キャンプ禁止みたい。早く退散しなきゃ(笑)。
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徳島県藍住町「緑の広場」にて
野外ステージまであるよ(笑) |
- 実は、このキャンプ禁止の公園に、おいら以外にも野宿していたカップルが居たのでありました。そういえば、昨夜到着した時にバイクがあったなぁ。結局名前を聞かなかったんで、仮に「TDM850氏」、「CB400SFちゃん」と呼ぶ事に致しましょう(笑)。本人たちは「カップルじゃない。偶然一緒になったんだ」と申しておりましたが、アヤシイなぁ(笑)。2人は時計回りに四国をツーリングするとの事。おいらより早い時間のフェリーで徳島に来たみたい。
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野宿仲間の二人 |
- この二人と意気投合し、何故か関係のない彼等も一番霊山寺まで付き合ってくれる事に。旅は道連れ世は情けってね(笑)。
- 一番札所霊山寺に到着。おいらは、一通りの遍路グッズをここで仕入れます。納札、納経帖、経本(お経の教科書)、ロウソク、線香、同行二人って書いてある白いずた袋。白衣も迷ったんだけど、結局、白い、「南無大師遍照金剛」って書いてあるベストタイプ(ようは袖なしネ。ジャケットの内側に着用)を購入。横をみると、CB400SFちゃんも、ずた袋を買ってるじゃないっすか。お遍路さんする訳じゃないのに(笑)。
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南無大師遍照金剛ベスト |
- TDM氏とCBちゃんも、一番霊山寺だけはお参りしていくとの事。100円奮発して、「道中安全」って書いてあるでかいロウソクを奉納してきました。いよいよお遍路さんの始まり。どうなる事やら(笑)。
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一番霊山寺にて |
- ここでTDM氏から初お接待。大福を頂きました。美味しい。有難うTDM氏。ネットで仕入れてあった知識に従って、お礼に納札を渡す。うふふ。なんかちゃんとお遍路さんしてるじゃん(笑)。
- TDM氏、CBちゃんとはここでお別れ。さよなら。道中気を付けてね。納札に
YAS Zone のアドレス書いといたから、うちに帰ったらメール頂戴ね。
- 3番金泉寺で、なんとZRXオーナーズクラブの#672山崎@徳島さんに遭遇。途中の郵便局でおいらのバイクを見つけて追いかけてきてくれたとの事。餞別に徳島の地酒を頂きました。有難う御座います。滅茶苦茶ウレシかったっす。もちろんお礼に納札をお渡ししておきました。お仕事中なのにわざわざ追いかけて来てくれて光栄です。
- ここで、お参りの作法を一つ。まずは山門にて一礼。その後手と口を清め、本堂にお参りします。ロウソクと線香を立て、納札を納札入れに入れて、お賽銭をあげ、般若心経を1回、南無大師遍照金剛を3回唱えます。これが結構恥ずかしいんだな(笑)。まだまだ新米お遍路だからね(笑)。
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ろうそく立てて・・・ |
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線香あげて・・・ |
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納札を納め・・・ |
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般若心経を唱えるのよ
(写真は他のお遍路さんです) |
- お遍路さんの道って、場所によってはスゲー狭くて、ほとんど路地としか呼びようもないところも。大きなお寺の場合はでかい看板が出てるんだけど、小さなお寺の場合、信じられないくらい案内板が小さいんだ。バイクで走っている場合、細心の注意を払っていないと見過ごしちゃいそう。
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こんな看板です。
普通、見落としちゃうよな。バイクで走ってたら。 |
- 9番法輪時前の茶店でお餅食べながら、はじめて他のお遍路さんとゆっくりと話す。50代位のおばさん遍路。なんでも、夫婦喧嘩して家を飛び出して、お遍路してるとの事。歩き遍路。なんか新鮮。理由はともかくとして、ホントに歩いて回っているなんて尊敬しちゃう。なんか「バイクで回ってごめんなさい」って感じ。肩身が狭い。ちなみにこの後、茶店のおばさんにヤキイモをご接待して貰いました。
- 最初は、結構恥ずかしかった巡礼だけど、だいぶ慣れて来た。「南無大師遍照金剛」と書いた白衣着てても平気。ポカポカ陽気も手伝って、ジャケットを脱ぎ、白衣で遍路を続ける。
- 11番藤井寺から12番焼山寺までは近道を利用。県道31号線、通称梨の木峠を選択。これがすごい道。ローカルな話で悪いけど、西伊豆の大瀬崎から戸田に抜ける道を数段タイトにした感じ。自動車なら大変だろうなぁ。ただし、ほとんど車が通らないので、グイグイ飛ばす。ZRX号はタイトコーナー得意なのさ。途中、落ち葉を踏んで大きくテールスライドする事2回。気をつけなくちゃ。
- 12番焼山寺は、スゲー山の中。杉の巨木がうっそうと茂り、霧も掛かって、しかも夕方。ほとんど、ひとけ無し。荘厳な感じがする。たった一日お遍路しただけなのに、自分の意識の変化にちょっと驚く。
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焼山寺参道にて。
人っ子一人居ない参道を歩くおいら。 |
- 今日は、徳島県名西郡神山町「コットンフィールドキャンプ場」にテント泊。すぐ近くに町営温泉があって、最高の立地。弱塩泉でゆっくり温まって、気持ち良く布団ならぬ寝袋に入りました。
- 天気予報によると夜半から雨との事だったので、管理人に言って、共同炊事場の屋根下にテントを張ったが、結果として大正解。雨は予報通りだったけど、装備を濡らさずに済みました。それにしても長い一日でした。もう、何日もお遍路さんを続けている気分。
2001-11-02(金)
- 朝、6時起床。昨日キャンプ場に入ったのは暗くなってからだったから気が付かなかったけど、朝目がさめると、回りは見事な紅葉。四国とはいえ、ここ、結構標高あるからねぇ。
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徳島県名西郡神山町の
コットンフィールドキャンプ場にて。 |
- なんか、右まぶたに違和感が・・・。鏡で確認すると、なんと虫に刺されていました。ただでさえ悪い人相が、更に怖くなってしまいましたとさ(笑)。山崎@徳島さんに貰った地酒を夕べ遅くまで呑んでいた時に刺された模様。それにしても毎晩呑んでるねぇ(笑)。
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まじにこりゃ、変質者の顔だね(笑)。 |
- 今朝は13番大日寺からスタート。県道21号線沿いのお寺。山の中からまた徳島市内に戻ってきました。朝一番でのお参りは気持ち良い。ろうそくと線香を立てて、納札を納めて、般若心経をよむ・・・が、なかなか上手くよめないんだよねぇ(笑)。こんなの練習した事ないからさ。
- 般若心経をよむ際の教科書として、「四国巡拝・仏前勤行法則」って小冊子を使ってるんだけど(一番札所で購入したもの)、般若心経の他にもいろんなお経が載ってるんだよ。最初はどれが般若心経なのか分からなくて困ったもんね(笑)。お経をあげている団体さんの後ろから盗み見て、はじめて分かった次第(一番札所にて)。まさか、「今何ページ目ですか」って聞く訳いかないじゃん、国語の授業じゃあるまいし(爆)。ちなみに、「観自在菩薩、行深般若波羅蜜多時・・・」で始まるのが、般若心経だよ。
- でも、よんでて気持ち良くないんだよね。上手くよめないからさ。それでね、「四国巡拝・仏前勤行法則」をもう一度よ〜く読み直してみた訳。そしたらさ、あるじゃん、知ってるのが。「舎利礼(しゃりらい)」。短いから全文書いてみるね。
一心頂礼萬徳圓満釋迦如来真身舎利本地法身法界塔婆我等礼敬以我現身入我我入佛加持故我證菩提以佛神力利益衆生発菩提心修菩薩行同入圓寂平等大智今将頂礼。
- これさ、俺のばあちゃんが死んでさ、告別式の朝、火葬場に行って、今まさにお棺を火にくべるって時に、坊さんがよんだお経なんだよね。ちり〜んって涼しい音がする鈴を鳴らしながらね。俺、そのシーンを今でも鮮烈に記憶しててさ、このお経聞くと死んだばあちゃんを思い出す訳。
- そういえば死んだばあちゃんも死ぬ前にお遍路さんしたんだよね。バスツアーだけどさ。その時は気が付かなかったけど、今思えばお棺の中に、八十八の朱印が押さった白衣入れてたもんなぁ。俺も今、死んだばあちゃんが通ったのと同じ道を辿ってるだなぁって初めて気が付いたよ。今まで単なるスタンプラリー感覚だったからね。
- 般若心経は上手くよめないから、これからは代わりに「舎利礼」を唱える事にした。あんまり形にこだわる事もないと思ってさ。それに、「四国巡拝・仏前勤行法則」に載ってる位だから、これよんでも、OKだろ?
- ばあちゃんの火葬場のシーンを思い出して、19番立江寺の寺務所で鈴を購入。2000円也。ちり〜んって涼しい音のするやつ。持鈴(じれい)って言うんだって。ばあちゃんの時と全くおんなじ音。鳴らすと、ばあちゃんを思い出して涙ぐみそうになり、必要以上にバイクの速度を上げる。
- 19番立江寺から20番鶴林寺への道は、みかん畑の中の山道。途中で、歩きのお遍路さんからミカン貰いました。その人も農家の人から貰ったんだって。孫お接待という訳。ちょっとすっぱくて美味しい。
- 20番鶴林寺はスゲー山の中。もう夕方で、薄暗くなってきた。駐車場には車一台も無し。テントのおいらと違って、みんな割と早く宿に入るみたい。薄もやが掛かって荘厳な雰囲気。
- 人気のない参道を鈴を鳴らしながら歩く。何故か涙が出て止まらない。俺、いったい、どうなっちゃたんだろう。
- 泣きながらロウソクあげて、泣きながら線香立てて、泣きながら納札納めて、泣きながら舎利礼をよむ。誰も居ないから、結構大きな声でよむ。
- 大の大人が泣いてるの見られるの恥ずかしいから、納経所には行きたくなかったんだけど、残り時間あと5分なんで仕方がなく、泣きながら納経所で朱印を貰う。納経所の人は何にも言いませんでした。訳ありだと思ったんだろうなぁ。
- 突然迷信的な言い方で悪いけどさ、鶴林寺には、死んだばあちゃんが居たのかも知れない。
- 20番鶴林寺を出たら既に暗い。今夜の寝床をどうしようか。
- 明日は、21番太龍寺から。太龍寺にはロープウエィがあって、普通の人はそれを利用するんだけど、おいらは普段バイクで楽させて貰ってるんで、古い登山道を歩いて登ることにする。といっても数キロだけどね(笑)。今夜は古い登山道の下の山の中の駐車場で野宿。明かりが全くなく、いわゆる漆黒の闇ってやつ。テントを張り、早々に寝袋にもぐりこむ。
2001-11-03(土)
- 朝5:30起床。登頂準備に取り掛かる。夜半から雨が降り出し、テントはびっしょり。雨、やまないかなぁ。
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21番太龍寺登山道の駐車場にて。
雨降ってるんで、テントの中を撮影。 |
- 6:30。太龍寺に向けて登頂開始。誰も居ない登山道を歩く。
- 21番太龍寺に到着。一番乗り。本堂、大師堂だけじゃなく、多宝塔にもお参りする。なにしろ、この太龍寺のご本尊は「虚空蔵菩薩」で、幸福、人徳、財力、知恵を無限に授けてくれる仏様との事。こりゃ念入りにお参りするしかないよね(笑)。次の仕事もうまく行くように、極太の「商売繁盛」ローソクを寄進。500円也。
- お参りを済ませて駐車場ベースキャンプまで戻ってきた。相変わらず雨は降り続き、一向にやむ気配を見せない。雨の中の撤収作業って、なんか憂鬱。
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21番太龍寺登山道の駐車場にて。
びっしょり濡れたテント。 |
- 何とか撤収を済ませ、太龍寺登山道駐車場を出発。道が悪い上、落ち葉が堆積していて路面は最悪。時折、前後輪を滑らせながら、ゆっくりと下る。それにしても、後輪ならともかく、前輪が滑ると怖いよね〜。
- 22番平等寺、23番薬王寺のお参りを済ませ、本日の巡礼予定はこれにて終了。今日は3箇所しか回らない予定なんだ。雨降ってるしさ(笑)。それに徳島県内のお寺はこれで終わりなんだよ。いわゆる「発心の道場、阿波徳島23寺」が終了して、キリが良いって訳。
- 薬王寺の近くのうどん屋で、うどんを食す。滅法美味い。昨日の昼飯からなんにも食ってなかったもんね。ほら、太龍寺登山道は一応境内になるんで、文化財保護法かなんかで火気厳禁な訳。煮炊き一切禁止。24時間ぶりの食い物だから、そりゃ美味いわな(笑)。
- 雨の中、国道55号線を室戸岬目指してひた走る。途中、「道の駅宍喰温泉」で一休み。同じように休んでいた、歩きお遍路さんの人に、缶コーヒーをお接待する。彼の名は今井君。見たところ30前といったところで、長野県飯田市の出身だそう。彼とは少し話をして、おいらは温泉に入浴。400円。カッパは着てたんだけど雨でぐっしょりだったから、生き返りました。
- 今日は、旅に出て初めて屋根の下で寝ます。ライダーズイン室戸。しかも2連泊。お遍路は一旦休憩して、濡れたテント乾かしたり、バイク洗車したり、プラグ交換したり、本読んだりしてのんびり過ごす予定。月曜日からはいよいよ修業の道場土佐高知に入ります。24番最御崎寺(ほつみさきじ)から再スタート予定。
なんとかかんとか、阿波徳島を制覇。はじめは物見遊山のスタンプラリー感覚で始めたお遍路さんだけど、心境の変化に自分でもビックリ。ここ、ライダーズイン室戸で鋭気を養い、次なる土佐高知攻略に向けて邁進します。
【つづく】
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