が愛機カワサキZRX1100を買った当初は、私もちょっとは、かみさんに気を使って「なぁお前、タンデムでどこか出掛けようか」なんて誘ってみたりして、カップル宜しくタンデムツーリングなんぞを楽しんでおりました。
私たち夫婦は学生時代からの付き合いで御座いまして、伊豆下田辺りをタンデムで流しておりますと、なんかこう、古き良き学生時代を思い出したりして、なかなかGOODだったので御座います。
考えてみれば無理もない事なんでありますが、そのうちだんだん、タンデム中のかみさんの反応がおかしくなって参りました。いくらペーパーライダーの彼女とて、一応は普通自動二輪免許を持つ身。そう、彼女、自分も運転したくて仕方がなくなってきたのであります。でも悲しいかな、うちには彼女が運転出来るバイクが無い。ご存知ない方もいらっしゃると思うので一応解説させて頂きますと、うちのZRX1100を運転するには大型二輪免許が必要で、かみさんの持つ普通二輪免許では、無免許運転になってしまうのであります。
正月休み目前のある日、そう、あれは2000年12月の事でありました。意を決したかのようにかみさんが私にこう言うではありませんか。「ねぇ、私もバイク買っていい?」。むむ〜。ついに来たか。ある程度想像していたとは言え、ついにその時がやってきてしまったのでありました。うちにはZRX1100の他にライトエースノアも有りまして、ただでさえ車検のある乗り物が既に2台も存在するのに、ここで400ccのバイクでも買おうもんなら、それが3台になってしまいます。小遣いが苦しい中、しかもガソリン代も捻出しなくてはならぬ身にもかかわらず、車検3台となれば更なる小遣い減額は必至。私は大いなる窮地に立たされたのであります。
今思えば、これも敵の戦略だったのでありましょうか、かみさんはこう言うではありませんか。「私、250ccで十分なの」。よっしゃー!頭の弱い私はコロリと騙されてしまいました。250cc=車検が無い=小遣いは減らない=だったら良いじゃん!
馬鹿ですね〜。私がそれと気付かぬうち、まんまと敵の策略にハマっていたのです。初期投資は多少痛いとしても、私はすっかり、かみさんにバイクを買ってやるつもりになっていたのであります。250ccバイクの購入費は痛い。確かに痛い。でも、35歳を過ぎて、女房と共通の趣味が持てるなんて素敵じゃあないですか。
さぁ、お前、俺の1100についてこいよ。はいあなた。私は自分の250でついていきますわ。あなたのライディングフォーム格好よいわ。そういうお前のハンドルさばきもチャーミングだよ。あ〜あ、ホントに馬鹿ですねぇ。でも私はその時には、来たるバラ色の夫婦の休日に思いをはせ、事の重大さに全く気付いていなかったのでありました。
【つづく】
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この文章は、ほとんどホントの話ですが、一部、脚色されています(笑)。 |
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この文章の内容を「カンペキ」に信じると、痛い目にあう場合があります(爆)。 |