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  飛行機だけ何故ダイナミックプライシングなのか  

 徒然

 共交通機関は営利業務としての運輸業以前に、公共インフラとしての側面を持っています。それ故、バスや電車やタクシーの料金はガチガチの許認可で縛られていて、勝手に上げ下げ出来ない仕組みになっているのはご存じの通り。

 それに対して飛行機の運賃にはダイナミックプライシング制が導入されています。需要と供給を勘案して、値段を変化させる方式。実際のところ、飛行機の運賃の閑散期と繁忙期の値段の差は凄まじく、「混んでる時期はボッタクリ」、という印象を持つのは私だけではありますまい。

 遊園地などのアミューズメント施設がダイナミックプライシングを導入するのは、ある意味理解が出来ましょう。繁忙期に価格を上げる事で、過剰な混雑を抑えつつ売り上げを確保出来ますし、閑散期には逆に価格を下げる事で、「安いから行ってみようか」、という新規顧客を取り込み、ゆくゆくはリピーター化を狙える可能性があるからです。

 アミューズメント産業と異なり、飛行機は公共交通機関であります。例えば、羽田から帯広への移動を考えた場合、飛行機以外の方法はありません。ま、一応、フェリーとか北海道新幹線とか、他の方法が無い事もありませんけれども、東京港からの直行便は存在せず、茨城の大洗まで陸路を移動して、苫小牧行きの船に乗るしかありませんし、苫小牧から帯広も陸路移動が必要です。新幹線にしても新函館北斗どまり。いずれにしろ相当な時間が掛かりますから、特に急いでいる場合は、フェリーも新幹線も、あまり現実的な移動方法ではないでしょう。

 飛行機の利用は、観光旅行などのアミューズメントの為だけでなく、例えば仕事での移動や、冠婚葬祭などの用事、帰省等の用途も想定されます。そういう「移動自体を必要とする」旅客からぼったくるのは如何なものかと思うのです。代替移動手段の無い、優越的な立場での意図的な値上げは、ちょっと独禁法違反の匂いもしますしね。もしも電力会社がエアコン需要の高まる夏に電気代を倍にしたり、ガソリンスタンドが冬の寒い時期を狙って灯油の値段を釣り上げたりしたら、大問題間違いなしでしょ?

 確かに航空業界は固定費比率が大きい商売です。満席でもガラガラでも、基本的に経費は変わらず掛かってきますからね。より満席に近い効率的なフライトになるように、事前に予約してくれる客は安く優遇し、予定日近くになって予約してくる客は高価くする事で、安定して採算ラインに乗せる必要がある事は分かります。こういう早期予約に対するダイナミックプライシングは良いのです。私が問題にしているのは、お盆や年末年始などの繁忙期に、料金体系全体を上げる行為であります。JRの繁忙期追加料金は一律400円ですけれども、飛行機の繁忙期の料金はこれとは桁が違うレベルの値上げですからね。

 世界初のLCC(ロー・コスト・キャリア:Low Cost Carrier)として知られる米国サウスウエスト航空は、全機材をボーイング737型機に統一する事で、パイロットのローテーション運用を容易にするとともに、整備コストや整備時間の短縮に成功したと云われています。サウスウエスト航空は、「航空機は地上にいる時に経費を生み、飛行している時に利益を生む」を社是に、人件費削減を一切行わずに黒字を生み出し続けている事で有名な会社です。

 やはりこうした企業努力が無いままダイナミックプライシングを導入するのは、単なるボッタクリと云われても仕方ありますまい。公共交通インフラの整備は国土の強靱化そのものでもあります。航空業界にも公共交通機関としての矜持(きょうじ)を持って貰いたいものだと考える次第です。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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