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  日本って本当に駄目な国になっちまったんだろうか  

 徒然

 の社会人としての生活は平成とともに始まりました。あの頃、基本給は確か額面で20数万円位。当時の大卒サラリーマンとしてはごく普通の給料でありました。でも就職と同時に千葉幕張本郷の独身寮に入りましたので、家賃負担はゼロ。都内のオフィスに総武線で通いました。世は湾岸戦争が勃発しバブル崩壊直後ではありましたけれども、私の居たIT業界は空前の忙しさでしたし、今と違ってガンガン残業して、フルに残業代も支給されましたので、実際の手取りはそれなりに多かったのであります。

 当時は社会保険料も大した金額ではありませんでしたし、将来の金銭的な不安など感じた事はありませんでした。冬になると、土日ごとに寮の同期や先輩とスキーに出掛け、楽しい時間を過ごしたものです。残業しまくって、その上、土日は夜行バスでスキーに行く。更に自力で勉強も進めておりました。あの頃のIT系は日進月歩で、職場で学べるだけの知識ではいずれジリ貧になる事は明白でしたからね。今考えればかなり無茶な生活をしておりましたけれども、テレビでは「24時間戦えますか?」と過激な栄養ドリンクの宣伝が流れていて、誰もこんな生活がブラックな生き方だなどと、思ってもみない、そういう時代でありました。

 それに比べると今のお若い方々は、法外な所得税や社会保険料を天引きされ、実際に手元に残るお金は決して満足のいく額ではないでしょう。特に都会の家賃は高騰し、スマホ代などの固定費を引くと幾らも残らないというではありませんか。仕事とプライベートはカッチリ区別し、家で勉強もしない。もっとも、書籍費やツール代やPCの費用など、お金に余裕がないと、勉強も満足に出来ませんからなぁ。

 こうした状況を見て、日本ってすっかり駄目な国になっちまった、という意見がある事も知っています。がむしゃらに働き、上司に叱責されながら仕事を覚え、夜は寮に帰って勉強し、休日を思い切り楽しむ。それなりにキツい事もありましたが、社会全体に活気があった事は確か。今は残業は制限され、上司に叱られる事のない代わりに中々仕事も覚えられず、結局休日は一日中スマホを(いじ)っていて、ピリッとしない生活。諸外国の経済規模は拡大しているのに我が国だけが停滞していて、社会に活気がない。世を(うれ)う気持ちも分からないではありません。

 しかし冷静に考えてみて下さい。私は日本って実に大した国だと思うのですよ。GDPだって米国、中国に次いで第三位(最近四位に転落したかも知れませんが、確定している2022年時点の数字によると三位)。インドやドイツに抜かされそうではありますが、日本って特別だと思うんです。米国、中国、インドのように核武装して他国を恫喝(どうかつ)したり、他国領地内に自国の軍事基地を置いてプレゼンスを発揮したりもしていませんし、石油や天然ガスやレアメタルなどの天然資源に恵まれている訳でもない。国際通貨ユーロの使用により同一経済圏の貧困国(例えばギリシャ)から富を吸い上げるという割と卑劣なスキームを利用してもいないし、他国の領土を不法に奪取したり等の侵略行為も一切なし。純粋な経済的努力だけで現在の先進国としての地位を得ている国なんて、世界の中で日本だけではないでしょうか。

 確かに、与党自民党はガタガタしているし、社会保険料や税金は高い。選挙で選ばれた政治家が財務官僚の言いなりになってしまっていて、奨学金返済義務を抱えたまま結婚出来ない若者が増えており、しかも学生の学力はどんどん下がっている。どんな素晴らしい組織にも必ず曲がり角は存在し、今がその曲がり角である事は間違いなさそうですが、まだまだ挽回は十分に可能でしょう。そもそも我々は他国と戦争状態にある訳じゃないですし、街中に麻薬中毒者が溢れてもいず、日々のご飯が食べられない程の貧困とも闘っていないのですから。

 昔、米国人の友人と呑んでいて、彼は割と日本の歴史教育についても明るかったのですが、「日本って何で自国の教科書で、あんなネガティブな考えを自国の子供たちに広めようとしているんだろう」、と聞かれた事があります。第二次世界大戦で日本は犯罪国家として連合国に対し悪事を働いた、だからそれを猛省すべきだ的な、日本の風潮の事を云っているようなのです。「Yas、あのね」彼は云います。「自国の歴史って、俺たちの国は素晴らしい国で、今までこんな事をやってきて、だから君たち子供はこの国に生まれた事を誇りに思って良いんだよ、って伝える為のモノなんだ。少なくとも米国ではそう教育している」

 現在の状況はともかくとして、子供たちがこの国に生まれた事を誇りに思えるような教育をしないのは、急激に国を衰退させる、いわゆるマイナスの力になってしまうのではないでしょうか。少なくとも良い国に変えていこうというモチベーションが()がれる事は間違いがないでしょう。

 子供たちが、この国に生まれて良かったと思えるような話を、きちんと語ってあげられる人間になる事が、我々おっさんの役目だと強く々々思うのでありました〜。Copyright (C) by Yas / YasZone

【つづく】

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